エル・ゾンビ!・・・と言っても、知る人ぞ知るスペインのホラー映画監督=アマンド・デ・オッソリオの『エル・ゾンビ/落武者のえじき』(71)のことではないのですが、ちょっとだけ解説を・・・。
テンプル騎士団の亡霊が現代に甦り人々を殺戮していく物語が好評を博し、全4作の「ブラインド・デッド(甦った髑髏騎士たちは目が見えない)」シリーズが作られました(4作に繋がりはなく一話完結)。
【Blue Underground】というマニアックなメーカーが4作品を棺桶型の箱に納めたDVDを発売、狂喜したファンとスパニッシュホラーの噂だけは知っていたニワトリさんらがリージョン1の「棺桶」を購入しました。現在、似たような「棺桶BOX」(米国盤の方が凝っている)が国内盤として発売されています。恥ずかしながら内容は殆ど覚えていないのですが、面白がって見たことは間違いないので、いつかきちんと見なおすつもり・・・。
話が飛びましたが、私の言う「エル・ゾンビ」は、映画『SUPER8/スーパーエイト』に出演したエル・ファニングちゃんが劇中扮したゾンビ姿のこと。だから、エル・ゾンビなのですが、ゾンビメイクをした彼女が「ゾンビってどんな動き方をするの?」と、主人公のオタク少年(この映画に出てくる少年は皆オタクだけど、主人公のジョーは特殊効果のスペシャリストとしてリック・ベイカー並みの仕事をする)に質問するシーンがあって、しどろもどろに答える主人公に「じゃあ、こんな感じ?」と言うなり、ゾンビになりきって迫っていき、少年のハートをわしづかみしてしまうシーンが最高です!
ねじの切れた人形のようにカクカク動くゾンビ独特の仕草(ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』の動きを忠実にコピー)で迫られて、ヘビににらまれたカエルじゃないけど息を呑んで立ち尽くす少年と同じくらいかそれ以上に、エル・ゾンビちゃんに惚れてしまいました。君のためなら死ねる・・・というか、そのまま首を食いちぎられたい!
(彼女は首に触れる直前で演技を止めてしまうけれど)
「スピルバーグにオマージュを捧げるなら、子供たちが撮る映画は(『E.T.』みたいな)SF映画でなければならなかった」と、もっともらしい顔で発言した評論家さんは、何を見ていたのか?絶対に間違っています。
(最後に上映された「作品」を見てもわかるけどね)。
スーパー8で撮影していた映画は「愛」の映画です。あの可愛らしい太っちょ少年のラヴレターなのよ。スピルバーグ的なお話は物語でやってるわけだから、ゾンビ映画に名を借りた「愛」の映画でいいんです。
端的に言うと、この作品は、エリオット少年やドリュー・バリモア(当時何歳だったんだっけ?)に逢えなかった『E.T.』の話だよね。人間を憎んで憎んで憎み切った『E.T.』が何とかして故郷へ帰る物語。それではあまりにも単純だと言うならば、あの凶悪な怪物は『禁断の惑星』の「イドの怪物」と同じように、主人公の少年の心を反映させたものだったのかもしれません。そう考えると、そんなに不自然でもない?
アラ探しも面白いけれど、(あのワンシーンだけで)琴線に触れてしまった作品は、今まで見た映画の記憶に妄想力を駆使して膨らませたり、足りない部分を補完してあげるといよいよ楽しくなります。何もしなくても、次から次へと映画の記憶が甦ってくるのだから。『小さな恋のメロディ』まで思い出しちゃったよ~♪
エル・ゾンビちゃんの素晴らしさは映画館orソフトで確認してね~♪
スピルバーグ作品で思い出されるのは、『未知との遭遇』(前半部のUFOが登場するときの静と動の動きや、後半部のデビルタワー周辺の人々が強制退去させられる光景がそのまま取り入れられている)、『E.T.』(顔、似てましたよね)『ジュラシック・パーク2』(Tレックスがバスを襲ったシーン)『グレムリン』(では冬だったけれど町の風景)、『1941』(『SUPER8』に出てきた戦車はウォーカー・ブルドッグ? 戦車やジープが町中を走り回る場面は『1941』のドタバタ騒ぎにどこか似ていた)、『スペースバンパイア』(クライマックスの給水塔とか・・・監督はトビー・フーパーだけどスピルバーグが製作したんだよね)などなど・・・。
アリスを救出するシーンは『エイリアン2』風で、エイリアンが隠れていた墓地は『ファンタズム』の墓地そっくり? こじつけに近いものまで入れて、色々な映画を楽しく思い出しました。列車の脱線シーンは、あんなに派手にすることないのに・・・と舌打ちしていたのですが、『スタンド・バイ・ミー』のあのシーンを思い出してました。そうそう、物語の時代設定は1979年。ソニーのウォークマンが登場!して、「おお~っ」となるけれど、劇中流れる音楽についてはもう少しツボを押さえて欲しかった・・・。
オタク談義に花が咲くこんなシーンもありました・・・この時点で二人は相思相愛?
ニワトリさんは『SUPER8/スーパーエイト』を二度観ました。入れ替え制がなかった昔だったら、朝から晩まで映画館に入り浸っていたでしょう。登場する少年少女たち(女の子は一人だけど)に100%共感できたから。
生まれも育ちも違っていたダニエルとメロディの初恋物語も良かったけれど、同じ境遇に置かれている少年少女が心を通わせてゆく過程が丁寧に描かれていて、好感度30%増! かくして、エル・ゾンビ(実はダコちゃんの妹だそうです)は、21世紀の「メロディ」になりました(頭の中で「メロディ・フェア」と「若葉の頃」が流れる)。今後も彼女から目が離せません!
(その1)を書いてから一ヶ月が過ぎてしまいました・・・。参考までに(その1)は、 → ここをクリック
正直言って、お姉(ダコタ)ちゃんには、ときめかなかったニワトリですが、彼女には・・・
カラーもモノクロも、ぞっこん素敵!
エル・ファニングの息を呑むショート・フィルムは、 → ここをクリック
実は新鋭ブランドの【RODARTE】のPVで、彼女が着せ替え人形のように次々とロダルテの服を着ていくだけなのですが、真夜中に見ていると(サダコとは違う意味で)魂を奪われてしまうかもしれません。でも、見つめていたい! ちなみに自分は音声を消して見とれました・・・。
オマケにソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』の彼女。可愛すぎ!
ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』でも絶賛された彼女は、父コッポラの新作(久しぶりのゴシックホラーらしい)『TWIXT』にも出演していました。幽霊姿が実にキュート。13歳にしてゾンビとゴーストを演じれば、もはや無敵でしょう。『TWIXT』の予告編は、 → ここをクリック