命の重さ

2009-06-19 23:58:35 | 自然&いきもの+ゾウのはな子


 観音崎からとんでもないものを連れてきてしまいました。「子供じゃあるまいし!」と、大ひんしゅくを買っています。父の拒絶反応は予想を遥かに上回っていて、「もう生きものが死ぬのを見たくないと、あれほど言っているのに・・・絶対認めない!」
 確かに、4頭の犬が死んでいます。生きものは好きだけど、もう飼うことはないだろうと、自分も思っていました。でも、どうしても、この子をほっておけず・・・。

 今週&来週は金曜日がお休みです。雨だったら、小梅線に乗って棚田を歩くつもりでしたが、好い天気になるとのことだったので、「毘沙門湾」の猫たちと遊ぶことにしました。4時に目覚ましをかけ、5時前に出発したので、6時半には横須賀に着いていました。牛丼を食べて腹ごなしもばっちりですが、いくらなんでも早過ぎる・・・毘沙門湾には9~10時頃に着きたかったので、食後の運動も兼ねて、前回見損ねた観音崎の三か所の砲台跡を訪ねることにしました。
 二つ目の砲台跡を訪ねるために坂道をひーこら言いながら登っていると、助けを求めるような声が・・・声の方向に足を向けると、子猫がコンクリートの手すりの上で鳴いていました。親を呼んでいるような感じの短い鳴き声をしきりにあげていますが、親の姿は一向に見当たりません。野良猫の子供が迷子になったのか、ここに捨てられたのかは定かではないけれど、このままでは子猫は生きられない・・・ということだけは何となくわかりました。とはいっても、自分はバイクだし、子猫を運ぶ術はありません。本当に後ろ髪を引かれる思いで別れました。「帰りに、ここに寄る。そのとき、ここにいたら、連れて帰ってあげるよ」

 残りの砲台跡を回って、毘沙門湾に着いたのは10時ちょうど。猫たちは日向ぼっこをしていました。「やせっぽち」は少し太って背中の傷も良くなっていましたが、また顔ぶれが変わったようです。30分ほど過ごして、観音崎と同じように要塞化されていた城ヶ島公園に向かいました。
 城ヶ島公園では、観音崎と違って砲台跡を確認することはできなかったのですが、その代わりに?かっぷくのいい野良猫(全部捨て猫らしい)がたくさんいて驚かされました。おまけに(というか、こっちがメインだけど)、すっかり忘れていた安房埼灯台と秘密基地&秘密の渚を数十年ぶりに再確認して、記憶も甦ってきました。小学生が遠足に来ていましたが、自分は旅で来たんだぞ~、なんて威張ったりして・・・。

 朝から二万歩近く歩いたせいか、珍しく食欲がわかず、三崎まで行ったのにそのまま立ち去りかけたとき、「ミニねぎとろ丼&ミニまぐろづけ丼+かんぴょう巻き、マグロ佃煮、卵焼き、みそ汁、デザート(ごま豆腐)のランチ=1200円」の看板に目が止まり、看板を出していたお寿司屋さんに飛びこみました。この「ランチ」がとてもおいしかったので、試しに中トロと赤身を握ってもらったら、びっくり仰天! こんなにおいしいマグロがこの世にあるなんて・・・お代りください! おかげで、1200円が3倍になってしまいましたが、納得して観音崎に戻りました。

 坂道を上りながら、正直言って、「いないでくれ」と思っていました。今日は一眼レフを持ってきてなかったので、確かに子猫ならリュックに入れられるけど、観音崎から国立まで(100km少し)運べるとは到底思えず、浦賀の近くで見かけた動物病院に置いてもらって後から引き取りにいくか、ペットショップを見つけてキャリングケースに入れて運ぶしかないだろうと、手間やその後のことを考えて、すっかり気が重くなっていたからです。
 猫に会った場所に着くと、探すまでもなく、子猫がすり寄ってきました。
 「これはもう運命だ!」と思い、子猫を抱いて、話かけました。
「それでは、お家に帰るけど、しばらく我慢できるかな?」
 リュックの中で、子猫はおとなしくしてくれています。「これならいけるかも?」と思いながら、おそるおそる走り出しました。

 久しぶりにクタクタになりました。背中の子猫にショックを与えないように一定のスピードで走るのは容易ではありませんでした。でも、猫のおかげで皆が捕まっていた「鼠捕り」にひっかからずに済みました(往きは100km/h 以上で飛ばしていたので、一発免停です・・・)。背中があまりに静かなので逆に気になりましたが、静かなうちに距離を稼ごうと、休まず走り続けました。市ヶ尾付近まで戻ってきたとき、左手に公園が見えたので、猫をリュックから出して休憩を取ることにしました。狭いところから解放された子猫は、さすがにもう一度リュックに入るのを嫌がり、万が一飛び出したら死んでしまうので、前からリュックごと抱きかかえる形で運びました。

 無事に家に着いたのですが、それからが大変でした。猛反対され私も傷つきましたが、だからといって、このままにしておくわけにはいきません。とりあえず、子猫には風呂場にいてもらい、ホームセンターで必要なものを買ってきました。体を洗われたのは相当ショックだったらしく、シャンプーを洗い流すときは本気で逃げ場所を探していました。ドライヤーも嫌だったみたいですが、じきに観念したのか、ブルブル震えながらも腕の中でじっとしていました。

 「里親を探す」とは言ったものの、腕枕や胸の上で安らかな寝息をたてている子猫を手放すことができるでしょうか? ブログを書き出す前にそんなことを考えていました。
 子猫が落ち着いたところで、一番困ったのがトイレの問題でした。実は、リュックに入れてから一度もトイレに行っていません(お漏らしもしなかった)。「ここでするんだよ」と話しかけながら、買ってきたトイレに何度か入れてみたのですが、10秒持たずに出てきてしまいます。もしかすると、まだ自分ですることができないのか?とも思い、濡れたティッシュで刺激しても効果なし。お腹が膨れている感じもするし、全然しないようなら、明日病院に連れていくしかない・・・そしたらですよ、23時過ぎに自分からトイレの中に入ったので、そっと様子を見ていたら、おしっこをしました。終わった後は、一生懸命砂をかけています。
 「偉い、よくできた! もう出ておいで」と言って外に出したら、またトイレの中に入って、今度は立派なウンチをしました。「これでひと安心。何て、偉いんだ!」
 今は座布団の上で丸まっています。(


 明日明後日は終日研修だし、月曜日からは夜勤が待っている・・・週によっては三日間グループホームの夜勤があるので、子猫がその間ひとりぼっちで部屋にいるのはちょっと心配ですが、まあ、やってみるしかない!