LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

第52回神戸ミーティングのご報告

2012年10月28日 | ミーティング
10月14日(日)第52回神戸ミーティング(あすてっぷKOBE登録グループ企画・発信DAY講演会)は、岡山大学教授の中塚幹也先生をゲストにお迎えして、「性同一性障害について学ぶ”医療の現状と支援の課題”」というテーマでお話いただきました。参加者は30名、初参加の方は9名でした。

まずセックス=生物学的性とジェンダー=社会的性の違いをお話いただき、前者は医者が診断できるのに対し、後者は診断ができにくいと。そんな中で当事者が性自己認識(性自認)=ジェンダー・アイデンティティに違和を感じ始めるのは小学校入学以前がなんと56,6%、自分の言葉で自分を語ることも難しい時期からなのですね。そして中学生までが89,6%とのことでした。つまり、当事者の子どもたちにとって学校生活の過ごし方が大きな問題となっており、中でも特に日本特有の問題としてあげられるのが「制服」ということでした。想像できますね・・・なんとかしなければなりません。

他にもさまざまなデータから見えることをお話しいただきましたが、不登校になる人は29%で、そのピークは中学校が37,3%、また自殺念慮を持つ人は68.7%で、そのピークは中学生が37%と大学生及び社会人が33,3%と二つあり、やはり一つは思春期と、もう一つは思春期をなんとか過ごしても仕事や恋愛・結婚の時期を迎えたときに再び大きな悩みの時期が来るということでした。

また年代別に見ると、2007年の性同一性障害特例法の制定を機に自殺未遂や不登校は一旦減るのですが、自殺念慮は再び上昇しているとのこと。2007年末のリーマンショックやサブプライムローンによる不況が、当事者の労働に影響を及ぼしているのかもしれないということでした。

先生は自殺予防総合対策センターの大綱の改定時に、ジェンダーやセクシュアル・マイノリティの視点でも自殺を考え、対応するように要望を出してくださったとのこと。その結果、改定後は「性的マイノリティ等」という言葉が入ったそうです。

他にも、特例法制定に至るまで、またその後の動きについてもいろいろとお話いただきました。今回は「性同一性障害」に焦点を絞っての講演会でしたが、自殺念慮の高さや、悩みの時期など、やはりLGBTに共通することも多くあり、日本が同性婚を認めていないことが特例法に大きな影響を与えていることも理解できました。また何よりも学校の対策が大切であること、そして企業への教育も欠かせないことも共通の課題として再認識できました。

後半は時間が延長するほどさまざまな質問が出ましたが、FTMとMTFの抱える課題の違いや、またみんなが手術を望むわけではなく、FTXやMTXという人たちも特例法の狭間に存在することなど、一人一人が生きやすい社会を創るためには、「性」に対する考え方を根本から変えていかなければならないことがよくわかりました。「性」について学ぶ場は、学校や企業だけでなく、市民にも提供されていく必要がありますね。保守的な考えに囚われている政治家にも!!

つなぐ会も、そんな場を少しでも多く提供できるように頑張らなくては!と今後の決意(笑)を新たにした次第でした!!


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする