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残雪コナ

2018-01-27 19:03:45 | コーヒー
先日、珍しくも熱が出たせいで味覚がおかしくなり、
この2週間ほど、飲んでも不味いだけのコーヒーを避けていたが、
先ほど冷凍庫に見慣れないパッケージを見つけ、よく見るとハワイ・コナのブレンド豆で、
そういえば去年末にドトールで買ったことを思い出した。

これは直火のイタリアンローストで、豆の表面にオイルが滲み出すくらい黒く深い。

ここのところローストはシティくらいまでの豆をわりと薄めに飲んでは
マズイマズイとばかりつぶやいていたので、よし今日はこれを飲んでやろう、と決めた。

イタリアンの淹れ方で大事なのはとにかく濃く、そして温度は低くすることだと思っている。

豆は30グラム。温度は82度。出来上がり目標は150ml。

出来ればネルがよかったが、ネルは未使用のものしかなく、準備に手間がかかるから、
まあペーパーでもいいだろうとハリオの紙フィルターにて。

紙フィルターでよく未サラシの茶色いものを使う人がいるが、あれは避けたい。

未漂白ということで、なんとなくナチュラルかつ味もよさそうな気がするが、
まったくの間違いで、
茶色のフィルターは製造工程で流水に浸しただけなので、どうしてもパルプ臭が残っていて、
コーヒーに混ざってしまい、どうやっても木の根っこみたいな味のコーヒーになってしまう。

較べて白いフィルターは酸素漂白なので、パルプ臭はほとんどなく、
微かに感じたとしても使用前に熱湯を回しかければ、問題はすべてクリアーである。
しかし安価すぎるものはやはり臭いがあることもある。

茶色のフィルターは同じように熱湯をかけてもパルプ臭はしつこく残り、
そのコーヒーはもう本当にがっかりする味で、木の根っこがいつまでも喉に張り付いて消えない。

各フィルターにコーヒー粉を入れずにお湯を通して、それを飲んでみれば違いはよくわかる。

まあ、ネルフィルターを丁寧に使うのが濃いめのコーヒーには一番なのだが、
紙の簡便さに慣れるとついつい、ね。

それでコーヒーを淹れて飲んだわけだが、これが新年最高の一杯になった。

ドトールは直火焙煎なので、去年の豆とはいえ、まったく味に衰えがなく、
むしろ円熟して、豆30グラムで150mlという濃さなのに、するすると喉に落ちていく。

香りはただただ甘く、嫌な煙ったさは一切なし。
ああ、こんなコーヒーをオレは飲みたかったんだ、と再認識した。

まあ、毎日これだと飽きてしまうのだけど。

味は深い焙煎によって酸味がほとんどなく、優しい苦みと甘さが前面に出ている。

このどっしりとした感じはもしかするとブラジルのロブスタが少し入っているかもしれないが、
そこまではちょっと私には明確にはわからない。

なにしろ飲んだ瞬間に鼻腔から咽喉が、そして大脳皮質までが徐々に、
そして最後には感覚のすべてが圧倒的に、
この熱帯地方が凝縮したような香りと味に支配されてしまう。

だからもう一杯飲みたい。

でもこれは経験からいうと、もう一杯飲んでも最初の感動はやってこない。

それならここで何を飲むかというと、これも経験上で最高の回答をするのなら、

お湯です。白湯。サユ。

熱帯の豊満な力強さに支配された余韻が消える頃に、温かく、味のない、
いや、その味のなさと香りのなさだからこその劇的な静けさと、
どこまでも清楚な、そして優しさだけのむしろそれこそ甘美な白湯で、
複雑な漆黒の気配を、すっと洗い流してやることは、きっとひとつの快感だろう。
コメント
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