エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

朴の花

2014年06月16日 | ポエム
種から植えて、花が咲くまでに13年はかかるといわれる。
花言葉は「誠意ある友情」



朴の花である。
友情は、ふとしたことで毀れる場合もあるけれど、13年続けば盤石かも知れない。
友情を育むのは、誠意をもってする。



葉は芳香があり、殺菌作用があるため食材を包んで、朴葉寿司、朴葉餅などに使われる。
また、落ち葉となった後も比較的火に強いため味噌や他の食材をのせて焼く朴葉味噌、朴葉焼きといった郷土料理の材料として利用されるのである。

ぼくは、この中でも朴葉味噌が好きだ。
香りが何とも言えないのであって、郷愁を掻き立てる。
この味噌だけで、白いご飯が2杯は頂ける。







「朴の木の下で浴びたる散華の気」







葉が大きいので古くから食器代わりに食物を盛るのに用いられてきた。
6世紀の王塚古墳の発掘時には、玄室の杯に朴の木の葉が敷かれていたのが見つかっている。
材は堅いので下駄の歯(朴歯下駄)などの細工物に使う。
水に強く手触りが良いため和包丁の柄やまな板に利用されたり、ヤニが少なく加工しやすい為、日本刀の鞘にも用いられる。





晴るる日も嶽鬱々と厚朴さけり
            蛇笏

風に乗り昇天の情朴の花
         青邨

示寂すといふ言葉あり朴散華
           虚子

朴の花暫くありて風渡る
         素十

雲にどよむ正午のサイレン朴咲けり
              林火

匂ふなり遠き梢の朴の花
         草城

朴咲く山家ラヂオ平地の声をして
            草田男





先人の優れた俳句が残されている。
創作意欲が掻き立てられる花である。




         荒 野人