平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

髪結いの亭主

2009年12月02日 | 洋画
★若い頃はこの映画ほとんど理解出来なかった。
 どうしてマチルダは自殺したのか?
 作品の中で描かれるマチルダの自殺の理由はこう。
 <幸せの絶頂の中で死にたかったから>
 幸せの絶頂なのになぜ?
 でも最近僕も歳をとったせいか、見直してその理由が実感としてわかる。
 マチルダは不安だったのだ。
 <幸せの絶頂>ということはいずれ下り坂が来る。
 人の心は変わるもの。
 夫のアントワーヌの気持ちは自分から醒めてしまうかもしれない。
 あるいは夫の気持ちは変わらなくても、死が自分から夫を引き離してしまうかもしれない。
 そんなつらい現実を見たくなくて、マチルダは自殺した。幸せの絶頂の中で死にたかった。

 なるほど、究極の愛とはそんなものかもしれない。
 江戸時代の心中とも似ている。
 死ぬことによって愛は永遠になる。

★若い頃に理解出来なかったことは他にもあった。
 アントワーヌは髪結いのマチルダに初めて会ってすぐにプロポーズする。
 マチルダはそのプロポーズに時をおかずして了承する。
 ふたりが関わったのはマチルダがアントワーヌの髪を切ったわずかな時間。
 そんなわずかな時間でなぜ? お互いのことを十分に知らないのに?
 おまけに若いマチルダにしてみればアントワーヌはさえない中年親父。
 
 しかし、歳をとると何となくわかる。
 アントワーヌははっきり言って変態。髪結いマニアで巨乳、匂いフェチ。
 だからアントワーヌに理想の女性を見たのだ。
 一方マチルダは、その変態性に魅せられた。
 この人なら自分を身も心も愛してくれると感じたのだ。
 ふたりは変態性で結び合い、他の人とは交換できない抜群の相性を感じたのだ。

 <人間の愛の形とは複雑なもの>
 そのことが最近何となくわかる。
 人間、長く生きてみるものですね。
 人間や人生とは実に奥が深い。
 それを理解し楽しむのも生きるということ。



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