平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ビブリア古書堂の事件手帖 第1話~1冊の本と向き合うということ

2013年01月15日 | 推理・サスペンスドラマ
 ミステリードラマはやはり原作を先に読むべきではありませんね。
 真相を知っていると、謎解きの面白さが半減してしまう。
 原作との設定、構成の違いなどが気になってしまう。

 というわけで、今回はビブリア古書堂について書いてみます。
 いいですね、こういう古本屋さん。
 ぼくは古本を買う時、主にブックオフに行くんですけど、やはり味気ない。
 店内は明るくて、並んでいる本はピカピカで新刊のよう。
 店員さんは「いらっしゃいませ!」と元気よくあいさつする。
 一方、ビブリア古書堂は……。
 昔ながらの古本屋さん。
 古い本がならぶ薄暗い店の奥に入っていくと、静かに本を読んでいる美少女がいる。
 店の場所は鎌倉。
 迷路のような町並みを歩いていくと、古民家の中に、ひっそりとたたずんでいる。
 何ともファンタジックではありませんか。

 おまけに、この古本屋の店主・篠川栞子(剛力彩芽)さんは本を愛している。
 本の内容ばかりか、持ち主の<思い>や<人生>までを読み込もうとしている。
 ブックオフの店員さんが本を愛していないとは言いませんが、栞子さんのような本への接し方はしていないだろう。
 ビブリア古書堂には静謐な時間がある。
 商売や生産性といった現代社会からかけ離れた世界がここにはある。
 栞子さんは<1冊の本>と真摯に向き合っている。
 この大量生産、使い捨ての時代にである。
 冒頭、時間をかけて本の査定をする栞子に、五浦大輔(AKIRA)がイライラするシーンがあるが、これこそ効率を重視する現代社会の象徴。
 これは原作にはない描写であるが、このシーンに映像製作者のメッセージが込められていると思う。

 さらにこのドラマ版について語ると、田中嘉雄がかつて愛した人の遺影を見つめてふり返るシーンはよかった。
 原作ではサラリと書いている場面だが、ドラマ製作者はここをドラマチックに描いてきた。
 いいアレンジだと思う。
 ちょうど映画『砂の器』が、原作では数行しか書かれていない巡礼の場面を感動的な5分間のシーンにしたように。

 さて、次回の事件は『落ち穂拾い』。
 原作の中でも、ぼくが一番好きなエピソードなので楽しみです。


 原作の栞子さんについてはこちら。
 「ビブリア古書堂の事件手帖」~内気で本好きな栞子さんを、剛力彩芽さんはどう演じるか?


コメント (2)
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