今日一人目のお客さんは映画プロデューサーのNさん。TBSでの仕事を終えた後、自分の会社に戻る途中すき焼を食べに来てくれた。二組目は最近常連になってくれたウェディングコンサルタントのSさんたち。二人はワインを飲みながらすき焼とオムライスで食事。三人目は新宿からわざわざウチのカレーライスを食べに来てくれた通信社のNさん。四組目は元大手広告代理店勤務のTさんたち三人。お腹を空かして来てくれた三人には、カプレーゼから始まって、レバーの赤ワイン煮、数の子と京水菜のサラダ、タラモサラダ、ミニオムライス、豆腐ステーキ、揚げ餃子、パスタ……とわんこ蕎麦風に小皿料理を食べてもらう。ここまでは料理店風。そしてその後はスナック風。音楽事務所のYさんがテレビ局のTさんと、某大手商社のYさんが部下のHちゃんと、放送作家のFさんが生徒のAさんと、俳優事務所のBさんが制作会社のプロデューサーMさんやKさんたちと、そこに近所の常連Mちゃんが加わってカウンターはワイワイガヤガヤ。皆が帰った後、売り上げを調べてみたら大したことなかったけど、フードも一杯でたし、少なくともカウンターは一杯だったし、何だか充実した気分。カウンターだけの店だったら万歳しているところだけど、何しろウチには客席数50の広いスペースがあるからねェ。
今日は午後からTBSのスペシャル番組の記者懇談会が予定され、11時にスタッフが到着するので、その前に店に出てLちゃんと準備にかかる。夕べのビデオ騒動にLちゃんも付き合わせてしまったので、さすがの彼女も眠たそう。でも、何十万円もかけて導入したビデオ上映機器を初めて生かす大切な催しだし、今後の為にもミスは許されない。俳優の織田裕二さんやマスコミの人たちに食事やドリンクを出す。何とか二回分けて行なわれた催しも四時過ぎ無事に終り、ホッとする。でも、昨日からの疲れがドッと出て、しばし椅子に座り込む。経営者の俺はともかくLちゃんにこのまま店で働かせる訳にはいかないし、俺に緊急の私用があったので、今日は六時に開店するところを九時にして一旦店を出る。私用を終えて店に戻ったのが八時半。断り書きを表に掲示しておいたのだけど、その間に何人か来店してくれたらしく、胸が痛むが、許して貰う他ない。二時まで店を開けておいたが、お客さんは五人だけ。Lちゃんと鰯を焼いて深夜食。その時ふと去年の今日父が死んだことを思い出す。
三日間五ステージの『花組芝居』が終った。とにかくとにかく凄いの一言! 勿論全ステージ満員。それも女性客だけ。その女性客に対して開演前や休憩時間に役者全員がオーダーを取ってサービスするものだから、フードやドリンクがドッと出る。何と五ステージで追加オーダーが約420。1ステージ平均84オーダー。これ以前に1ドリンクがあるからトータル約650オーダー。1ステージ平均130オーダー。これを俺とLちゃんの二人でさばいたことなる。いや、フードは1ステージ平均20オーダー位だったし、昨日今日と料理好きのSさんに手伝って貰ったから、残りの550オーダーはLちゃんが一人でさばいたということか?ウーム、こうして数字にしてみると彼女の凄さにも脱帽! そして全てが終ったのが10時過ぎ。あまり働かなかった俺もさすがに疲れた。さて、明日は11時からTBSのスペシャル番組のマスコミ試写があるし、早く帰ることにする。でも、念の為にビデオの点検。?…?…?(顔色が変わる)……!!!(顔が強張る)……!?(汗がでだす)……ビデオの音がスクリーン用のスピーカーから出ない!……花組の音響の人には元通りにして帰ってくれと云っておいたのにどうしたんだ?……俺、電気系統は全く駄目。でも、このまま放っておく訳にはいかない。明日は俳優の織田裕二さんまで来てしまうのだ。何とかしなくてはと卓のジャックを引き抜いたり、別の場所に差し込んだりの悪戦苦闘……12時、1時……と時間だけが経って行く。もう駄目か……と諦めかけた時、花組の音響の人に連絡が取れて、彼のサジェスチョンであるスイッチを押す。と、聞こえる。スピーカーから音が聞こえる!……何だよ?こんな簡単なことが分からずに四時間も苦労したのかよ?ホッとしたと同時に自分の機械オンチに猛烈に腹が立つのだった。
花組芝居二日目。今日はマチネもある為12時に店に。ここのお客さんはマチネだからと安心できない。昼間からよく飲んで食べてくれる。夜は昼間以上。今日厨房を手伝いにきてくれたSさんが作ってきたお弁当12個があっという間に売り切れた。終演後も関西からきたTさんYさんたちが残って一時半まで。売り上げが上がったこともだが、それ以上に嬉しいのが出演者も観客もこのイベントを楽しんでいること。花組芝居の演目がそうだからという訳じゃないがなんだか江戸時代の芝居見物の雰囲気だ。俺も今度は酒のみながら仲間に加わりたい。
今日から三日間、花組芝居の公演。去年の暮れの時にもびっくりしたけど、今日も女性客ばかりがズラッと48人。ここの女性客はよく飲み食べてくれる。フード担当の俺は20オーダー位だったから楽だったけど、48人分のワンドリンクと約60杯の追加ドリンクを一人でやってしまうLちゃんの手際のよさは正に神業。休憩時間には二つのトイレに長蛇の列が出来て、その光景に恐れをなした一般のお客さんは早々に退散せざるをえない。でも、そんな熱気は嫌いじゃない。早めに店を閉めて表にでたら店の中より暑い。いつのまにかそんな季節か
すき焼だけを食べに来てくれたお客さんが二人いた。劇作家のTさんと俳優事務所のSさん。二人はお酒を飲めない。すき焼だけを美味しそうに食べてくれた。早い時間から料理を目当てに来てくれたお客さんがいた。常連の化粧品メーカーのMちゃん。彼女は好き嫌いが激しくて、肉は全く駄目、魚も野菜も一部しか食べられないから、そのことを知っている俺が出す料理なら安心して食べられるのだ。でも、料理をオーダーされたのはその三人だけ。今日に限らず今週は料理のオーダーが殆どなかった。と云うことは遅い来店のお客さんしかいないと云うことで、当然の如く売上は低空飛行。食材がどんどん駄目になってしまう。料理問題はウチの店にとって「永遠の課題」だ。
完全に風邪。起きてから何もする気がしない。食欲がなかったけど、何か食べないといけないと思って冷蔵庫を開ける。でも、食べたい料理のイメージが湧いてこないし、固形物だと喉を通りそうにない。仕方なく卵スープを作ってご飯少しを入れて流し込む。その後はソファにグタッ。途中、この『待ち待ち日記』を書いて、またグタッ。五時過ぎまで二時間ドラマの再放送を見ながらウトウトしてしまい、慌てて部屋を出る。銀行と買い物をして店へ。スタッフのLちゃんがお腹が減った減ったとブーブー云うもんだから仕方なく厨房食を作って一緒に無理やり食べる。不思議なもんで無理やり食べたことで元気を回復する。でも、これで大忙しだったら体がダウンしてしまったかも知れないけど、幸か不幸かお店は暇。十時頃から少し混みだして二時過ぎまで。終った時にはお腹が減っていた。深夜食で食べたラーメンの旨かったこと。
買い物をした後、三時半から店で雑誌の取材。女性が一人で行ける店の特集とか。Lちゃんに若い女性が好きそうなカクテルを作ってもらい、料理は桃色ポテト(タラモサラダ)と数の子と京水菜のサラダ。五時過ぎ、ミュージシャンのK氏と音響のN氏と音響設備の改善策を検討。改装して防音効果を上げたのはいいが、PAエリアでも音が聞こえなくなってしまい、改善工事が必要との結論。またお金がかかる。憂鬱な気持のまま開店。体の具合が起きた時からよくないので俺には珍しく食欲がない。昼にそうめんを少し食べただけ。お客さんがいなくて食べようと思えば食べられるのに何も食べなくない。風邪か?このままお客さんがいなければ早く閉めようと思ったりしていたら、10時過ぎになって続いて数組のお客さん。その後も何組か続いて結局2時過ぎまで。後片付けを終っても何も食べる気にならない。そのまま帰宅。そのまま夕刊を読みながら就寝。
雨か?と起きた途端、憂鬱な気分。仕入れに行くのに自転車が使えない。四時過ぎスタッフのLちゃんと仕方なく電車で赤坂まで。片手に傘を持つ為、二人でもいつもの半分位しか買えない。五時過ぎ週末に公演を行なう花組芝居のMさんと打ち合わせ。今度も抽選で観劇希望者を選ぶ程の盛況とか。週明けの上、雨でお客さんが期待出来なかったけど、常連のMちゃん、スクリプターで脚本家のSさん、演出家のHさんたち、常連の俳優事務所のBさんがA放送のFさん、新人脚本家のMさんたちと来店してくれたのを始め、今日は何故か初めて来店されたカップルが4組、その内3組がすき焼を注文してくれる。店を出る時、ふと妙な気分。雨で憂鬱な筈だったのに、何故か気分が晴れやか。そうか、花粉症の発作が雨のせいで出なかった。雨に感謝。
午後、近々郵送予定の店のパンフレットの最終チェック。雑誌に載せるシネマコレドの広告文案を作った後、妹の一人芝居を見る為に渋谷のパルコへ。女優のTさん始め、大勢のお客さん、知人に会って挨拶。勿論、妹ファンのスタッフのLちゃんとも。閉幕後、見に来てくれた店の出資者の一人Oさんと店の現状を報告しながら食事。Oさんと別れた後、広尾の同じビルで雑貨店をやっていたKさんを誘って西麻布で飲む。フラッと入った落ち着いたバー。Kさんと世間話をしながらもウチの店と比較して色々考えさせられてしまう。12時過ぎ帰宅。色々な人と会って色々なことを考えたけど、何より嬉しかったのは、何故か花粉症の症状が少なかったこと。