桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2011・5・13

2011年05月14日 | Weblog
芝居を見に行くとする。七時開演のその芝居は、以前ウチのスペースでもやったことがあり、上演時間が約一時間だと知っているとする。となると芝居が終わって銀座にある劇場を出るのは八時だと予想する。今日は金曜日だけど、その位の時間だったら店もお客さんもそんなに多くない筈だし大丈夫だろうと、主宰者のTさんが先日の芝居をわざわざ見に来てくれたこともあり、その返礼の意味も含めて見に行くことにする。処が処が、予想もしないことが起きた。どのような配慮と思惑があったのか分からないけど、芝居が始まる前に劇場関係者I氏による六十年代の小劇場事情についてのトークが一時間も続いたのだ。スライドを用意し、ゲストも呼んでいる処をみると最初から計画されていたみたいだ。確かにチラシにも書いてある。でも、それに気づかなかった人にとっては地獄の一時間だ。今日の芝居に関係することならまだいい。主宰者のT氏や出演者に関係することなら許してやってもいい。けど、全く関係ないのだ。I氏個人が関わった演劇運動について、それも下らない内輪話をクドクドと話されるなんて、信じがたい暴挙だ。そんなことがなかったら、その後で行われたお芝居ももう少し楽しめたのかもしれないけど、怒りで頭の中が一杯になって、そして時間が気になって、気持ちが全く舞台に集中出来なかったのは悔しい限り。いや、集中できなかったのにはもう一つの原因もある。今日はこの芝居を見に来る前に、これも浮世の義理っぽく、3時から「監督失格」(平野勝之監督)という映画の試写会に出かけていたのだ。最初から全く期待してなかった。上映が3時からだし、睡眠時無呼吸症候群の俺は絶対眠ってしまうだろうと覚悟していた。処が、それは見事に裏切られた。一瞬たりとも眠ることが出来なかった。凄い映画だった。ドキュメンタリー映画と形態はとっているけど、これは劇映画だ。35歳で数年前に亡くなったAV女優の林由美香さんの生前の姿とその死後の監督の生きざまは圧倒的な映画として見るものに襲いかかって来る。ここでこの映画について一杯語りたい気持ちがするのだけど、ネタバレしてはいけないし、それに俺の文章力、表現力では語り尽くせない。試写をみたり、9月に公開されたら見た人は俺に連絡ください。一緒にこの映画の凄さについて語り合いたい。今日は3時から天国を7時から地獄を体験した日となった。