開店直後に高校の同級生F君がO君と一緒に来てくれる。O君はホボ常連になってくれつつあるが、酒を飲んでお喋りする様になったのは今年に入ってからだし、F君に至っては個人的にお喋りするのは今日が初めてだ。高校時代、演劇部に所属し、三島由紀夫を語っていたかと思うと、来日公演以前からビートルズに耽溺してバンドをやり、且つスポーツ万能少年でもあったF君は、多分クラスで一番華やかで、女性にもてていた。その彼が、高校卒業と同時に演劇からも音楽からも足を洗い、大学を卒業後は都庁に就職し、地味に着実に仕事をこなし、定年まで勤め上げることになると云うのだから、人生って奴は分からない。それでも周囲を圧倒し、惹きつける弁舌の滑らかさは若い当時と変わらず、普段は喋りまくり、目立ちキャラの俺も今日ばかりは大人しく彼の話に相槌を打つしかなかった。O君の提案で来年は月に一度はクラスの皆に呼びかけてこうして集まろうということになったが、明日指向の俺もそれはそれで楽しみ。他にお客さんは、制作会社Iの忘年会の流れのご一行様15人、同じく制作会社Dのご一行様5人、常連の演出家Sちゃん、それとTちゃんに別れの挨拶にきた図書館勤務のMさん、女優のKさん、法律事務所勤務のNさん、看護士のRさんたち。そう、後一日でTちゃんともお別れだ。