朝「戦争と一人の女」の脚本家Aから客の入りが悪いから映画をみてくれとのメールが入る。こんなことって初めて。自分が編集長をつとめる「映画芸術」と云う雑誌ではこの映画の監督のIについてボロクソに言っていたのに、こうしたメールまで寄越すなんて、やっぱり雑誌での罵詈雑言は出来レースではないかと疑いたくなる。でも、メールを貰わなくても見に行く予定だったので午後母と老老ランチ(麻婆豆腐とチリメンジャコ炒飯とひじきとキュウリと頂き物の山椒のサラダ)を終えてからテアトル新宿へ出向く。日曜日の午後だったせいかAが心配する程不入りではない。そして映画もI監督は初演出なのによく撮っている。Aが非難するのは不当だ。特に、これは原作と脚本がこだわったことだけど、空襲の最中に知り合って睦み合う男女を通じて逆説的に戦争の美しさや魅力(それは即悲惨さや残酷さだけど)はとてもよく描かれていた。そういえば、以前母に戦争中のことを聞いていた時、東京大空襲の時に郊外の高台に住んでいた母は、都心に焼夷弾が落ちて燃える光景をまるで花火みたいだったと言っていたのを思い出す。見終わった後、誰かとこの映画について喋りたくて業界人が集う店に顔を出してみたけど、連休で客はいない。仕方なく、というかこういう時に頼りになるのが秘書のSさんで、七時過ぎなのに電話したら出てきてくれたので、知り合いの女優Nちゃんがバイトしている麻布十番の干物屋さんAで飲む。知り合った時、彼女は24で、俺は51。それが今は彼女が38で、俺が65。年の差は変わらないけど、確実に人生への向い方がそれぞれ深刻になってきているお年頃だ。いつまで彼女と会っていられるか?そう思うと二人の関係を無理することなく、10時過ぎには彼女と別れて帰宅。「戦争と一人の女」の原作 (坂口安吾)とシナリオを読みつつ眠る。★ゴールデンウィークはカレンダー通り営業します(4/30、5/1、5/2は営業、5/3~5/6は連休)