カルテの法の保存期間はわずか5年
公的年金の障害年金についての一般の理解が進まない中、実際もらえる人でも知らないことから、もらっていない方は多いようです。そんな中、吉野特定社労士さんが、障害年金のことについて、基礎から説き起こし、しかも豊富な実例を交えながら、障害年金をもらえる可能性がある人のために、自分で請求できるようにと、分かりやすい道案内の意味合いから一般向けに書かれた本が出ました。
障害年金のポイントは、下のように3つの受給要件を満たしていれば、受給できます。しかし、具体的に申請するとなると、さまざまのケースがあり、事はそれほど簡単にはいかず、不支給の憂き目に会う場合もあるようです。著者は、その豊富な経験から自分の当たった実例を上げながら、一般の方がどこに注意して申請すればいいのかを説明しています。
<3つの受給要件>
1、初診日に被保険者(=厚生年金あるいは国民年金に加入していること、ただし例外あり)であること<初診日要件>
2、障害認定日又は裁定請求日に、障害の程度が等級に該当すること<障害の程度要件>
3、保険料の納付要件を満たしていること<保険料納付要件>
さて、この本の中で、健診記録は取っておきましょうというのがあります。会社の健診では、少なくとも1年ごとに行っているはずで、1年取っておいても次の健診があれば、前の健診は捨てるという人も多いと思われます。しかし中には、年ごとの結果の移り変わりが分かるように、ずっと取っている方もいます。
健康診断で異常が発見され、療養の指示がなされた場合は、この健診の日が(*1)初診日となりますので、ずっと健診の記録が残っていると、支給の前提である初診日の証明がすぐに出来ることになります。しかし、特に慢性疾患など長期にわたって悪くなっていく場合など、基本的に健診により異常が指摘された日が初診日となりますが、カルテも保存されてない場合が多く、初診日の証明ができなくなりますので、健診結果は取っておいた方がよいようです。
著者が健診記録を保存すべきと口を酸っぱくして言う理由として、次のような例(*2)を挙げています。30代後半の会社員で人工弁置換術の手術を受けた方で、障害はこの手術は3級と決まっていますので、障害の程度では問題ありません。健康診断で心雑音が指摘されたとのことで、そのままいけば、健康診断の日が初診日となりますが、その後、9年間何事もなく会社でも普通に働き、年に一度の心エコー検査を行う「経過観察」だったとのことであり、社会的治癒(医療を行う必要がなくなり社会復帰していること)を主張して、9年後のエコーで異常が指摘された日がその初診日がなったとのことです。
9年後の初診日ということになれば、管理職であった本人は、給料も年々増加しており、障害厚生年金は平均報酬額(いわば給料の平均額)に比例して増加していきますので、それだけ年金の額は増えることになります。この社会的治癒ですが、社会保険審査会でも、裁決できちんと社会的治癒は認められています。「社会的治癒と認められるためには、相当の期間にわたって、当該傷病につき医療(予防的医療を除く)を行う必要がなくなり、その間に通常の勤務に服していることが必要と解される」(平23社会保険審査会裁決)とされています。(同書P127)
この社会的治癒を主張する場合に役立ったのが、本人が取っておいた健康診断の結果とのこと。経過観察期間の9年間にわたり事業所における心電図の検査結果は「A」であること、問診時の聴診でも心雑音の指摘はなかったことから、社会的治癒を証明することができましたとのこと。9年分の本人の健康診断の結果が残っていればこその話です。
異常があること、逆に異常がないことを証明するためのは、どちらを証明するにしても健康診断の結果は有効です。今ある健康診断の結果は、絶対に捨てないようにと著者は言います。
なお、同様に、ここは本当に取っている方は稀なところでしょうが、病院の領収書、お薬手帳や初診日の診察券も初診日の証明に役に立つといいます。なにせ、カルテの保存期間は日本の法律では、5年と定められており廃棄されるものも多いため、長い間に徐々に悪化していく病気にあっては、初診日の証明が非常に難しくなっていきます。そんなとき、これらのものが初診日を証明してくれるといいます。基本的には、カルテに基づき、初診日は判断されますが、それがない場合には、これらの「確からしい」といえるものがあって、はじめて認定されるのであって、あくまでも本人の話だけでは認定されません。
*1 初診日:一般的には、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師の診断を受けた日である。この初診日の証明が非常に重要で、この初診日の証明がないと障害認定日(一般には、初診日から1年6か月経過日)もいつになるかが分からず、保険料納付要件も初診日の前前月を基準に算定するため、この証明ができてこそ、3要件を満たす条件が整うことになる。
*2 例:あえて無理やり私が要約したので、著者の趣旨・意図が伝わらないところもあると思われますので、ぜひ詳細は本書をご覧ください。
<著書>「スッキリ解決!みんなの障害年金」 吉野千賀著 発行所㈱三五館
⇒吉野氏のブログ中、本の紹介
公的年金の障害年金についての一般の理解が進まない中、実際もらえる人でも知らないことから、もらっていない方は多いようです。そんな中、吉野特定社労士さんが、障害年金のことについて、基礎から説き起こし、しかも豊富な実例を交えながら、障害年金をもらえる可能性がある人のために、自分で請求できるようにと、分かりやすい道案内の意味合いから一般向けに書かれた本が出ました。
障害年金のポイントは、下のように3つの受給要件を満たしていれば、受給できます。しかし、具体的に申請するとなると、さまざまのケースがあり、事はそれほど簡単にはいかず、不支給の憂き目に会う場合もあるようです。著者は、その豊富な経験から自分の当たった実例を上げながら、一般の方がどこに注意して申請すればいいのかを説明しています。
<3つの受給要件>
1、初診日に被保険者(=厚生年金あるいは国民年金に加入していること、ただし例外あり)であること<初診日要件>
2、障害認定日又は裁定請求日に、障害の程度が等級に該当すること<障害の程度要件>
3、保険料の納付要件を満たしていること<保険料納付要件>
さて、この本の中で、健診記録は取っておきましょうというのがあります。会社の健診では、少なくとも1年ごとに行っているはずで、1年取っておいても次の健診があれば、前の健診は捨てるという人も多いと思われます。しかし中には、年ごとの結果の移り変わりが分かるように、ずっと取っている方もいます。
健康診断で異常が発見され、療養の指示がなされた場合は、この健診の日が(*1)初診日となりますので、ずっと健診の記録が残っていると、支給の前提である初診日の証明がすぐに出来ることになります。しかし、特に慢性疾患など長期にわたって悪くなっていく場合など、基本的に健診により異常が指摘された日が初診日となりますが、カルテも保存されてない場合が多く、初診日の証明ができなくなりますので、健診結果は取っておいた方がよいようです。
著者が健診記録を保存すべきと口を酸っぱくして言う理由として、次のような例(*2)を挙げています。30代後半の会社員で人工弁置換術の手術を受けた方で、障害はこの手術は3級と決まっていますので、障害の程度では問題ありません。健康診断で心雑音が指摘されたとのことで、そのままいけば、健康診断の日が初診日となりますが、その後、9年間何事もなく会社でも普通に働き、年に一度の心エコー検査を行う「経過観察」だったとのことであり、社会的治癒(医療を行う必要がなくなり社会復帰していること)を主張して、9年後のエコーで異常が指摘された日がその初診日がなったとのことです。
9年後の初診日ということになれば、管理職であった本人は、給料も年々増加しており、障害厚生年金は平均報酬額(いわば給料の平均額)に比例して増加していきますので、それだけ年金の額は増えることになります。この社会的治癒ですが、社会保険審査会でも、裁決できちんと社会的治癒は認められています。「社会的治癒と認められるためには、相当の期間にわたって、当該傷病につき医療(予防的医療を除く)を行う必要がなくなり、その間に通常の勤務に服していることが必要と解される」(平23社会保険審査会裁決)とされています。(同書P127)
この社会的治癒を主張する場合に役立ったのが、本人が取っておいた健康診断の結果とのこと。経過観察期間の9年間にわたり事業所における心電図の検査結果は「A」であること、問診時の聴診でも心雑音の指摘はなかったことから、社会的治癒を証明することができましたとのこと。9年分の本人の健康診断の結果が残っていればこその話です。
異常があること、逆に異常がないことを証明するためのは、どちらを証明するにしても健康診断の結果は有効です。今ある健康診断の結果は、絶対に捨てないようにと著者は言います。
なお、同様に、ここは本当に取っている方は稀なところでしょうが、病院の領収書、お薬手帳や初診日の診察券も初診日の証明に役に立つといいます。なにせ、カルテの保存期間は日本の法律では、5年と定められており廃棄されるものも多いため、長い間に徐々に悪化していく病気にあっては、初診日の証明が非常に難しくなっていきます。そんなとき、これらのものが初診日を証明してくれるといいます。基本的には、カルテに基づき、初診日は判断されますが、それがない場合には、これらの「確からしい」といえるものがあって、はじめて認定されるのであって、あくまでも本人の話だけでは認定されません。
*1 初診日:一般的には、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師の診断を受けた日である。この初診日の証明が非常に重要で、この初診日の証明がないと障害認定日(一般には、初診日から1年6か月経過日)もいつになるかが分からず、保険料納付要件も初診日の前前月を基準に算定するため、この証明ができてこそ、3要件を満たす条件が整うことになる。
*2 例:あえて無理やり私が要約したので、著者の趣旨・意図が伝わらないところもあると思われますので、ぜひ詳細は本書をご覧ください。
<著書>「スッキリ解決!みんなの障害年金」 吉野千賀著 発行所㈱三五館
⇒吉野氏のブログ中、本の紹介
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