「この事件はブラジルが戦後遭遇した犯罪でも最大のものになるような気がします。戦後の警察組織が全力を挙げて取り組んだのが、ナチス・ドイツの残党狩りでした。彼らの相当数が南米に逃げてきましたからね。もちろん手ぶらではありません。みあっただけの財貨とともにです。
戦争前の1940年の時点で、ブラジルにはドイツ系住民が90万人いました。もちろん南米では最大です。アルゼンチンのドイツ系住民でも20万人くらいだっとのですから。ドイツ人学校にしてもブラジル国内には千以上、千五百近くあったと聞いています。ナチス・ドイツにとっては、第2の祖国だったのです。戦争終結後、訴追を恐れて南米に渡ったナチス高官は五千人と言われています。しかし、数字はたぶん過小評価されています」(本書より)
こうした背景の下で 冷凍保存されていたヒトラーの精子を 様々な謀略を尽くして誘拐しマインドコントロール下に置かれた女性に人工授精させ ヒトラーの遺言(再生)を実行しようとする ナチス残党の野望(『レーベンスボルヌ=生命の泉』計画)を 偶然その病院に勤務することになった医師が打ち砕く医療サスペンス仕立ての物語。
実際 南米各地にはナチの残党の多くが隠れ住んでいることは公知の事実。
それに加えて現職の医師である著者の医学的知見が加わると このようなストーリーも荒唐無稽と一笑に付せないところが怖い。。。