緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

夕刻の道に響き渡ったお母さんの泣き声

2007年08月12日 | つれづれ

夜・・帰宅途中の出来事。
道を歩いていて聞こえてきた声・・

乳癌で治療を続けていらっしゃる様子。

“お母さんは
生きるか死ぬかっていう状態なのに
お前達はどうして
言うことを聞いてくれないのか”

そんな趣旨の言葉が涙声で
道中に響き渡っていました。
聞いてはいけないと
とっさに、小走りになってしまいました。

お前達というのは
お子さん達のことなのでしょう。
どういう経緯かは
まったくわかりませんでしたが
これは、子供達には
酷な言葉だと思いました。

子供なりの言い分があったとしても
母親の生死を理由にされると
飲み込まざるおえないからです。
子供達は気持ちを表出することなく
抑制し、解決できなくなってしまう
かもしれません。

何かとても大変そうでした。

大変な気持ちを
利害ないところで
思いっきりだせると
お子さん達と
向き合えるかもしれないのに
と、切なくなってしまいました。

お母さんが落ち着きを取り戻せますように。
お子さん達が自由な気持ちで
お母さんに接することができますように。


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4 コメント

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両方のやり場のない気持ちが・・・。 (ぴょん)
2007-08-13 09:49:13
怒鳴っている、お母さんの気持ちも、怒られているお子さんの気持ちも、何処にもやり場がない・・・。そんな気持ち。
どうしましょう。本当に・・・。
乗り越えなければならぬ道ですが・・・。
そんな過酷なことに、誰もならなければよいのに・・・。と、ふと、逃げてしまいたくなる一瞬。
どうか、どうか、乗り越えて下さいます様に。
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ひょとしたら・・・ (himawari)
2007-08-13 18:43:07
初めまして
夫ががん再発で2度目の完解状態のものです。
そのお子さんの状況がわからないのであくまでも仮説ですが、これが子供たちを何とかできるかもという母の切実な切り札・・という事はないのでしょうか?
我が家では幸い、子供たちにはそういう行動はとる必要はありませんでしたが・・
お母様が命をかけておられるのは事実・・
本来の親子の関係に戻れますように・・
お母様も治療がうまくいきますように・・
返信する
切ない・・・ (May)
2007-08-13 22:00:27
これって誰も悪くない分切ない話ですね。

お母様は本当に必死の状態なのかもしれない、もしかしたら将来的に最悪の状況を想定しているのかもしれませんね。

お子様がまだ小さいようなのでお母様も若いのかもしれませんね。

すべてが上手く行くといいな、と思いました。
返信する
Unknown (aruga)
2007-08-13 23:03:21
ぴょんさん
小さなお子さん達の教育に関わっていらしたぴょんさん。子供達の痛みが響いてきます。ありがとうございます。

himawariさん
はじめまして。そうですね。声の方は、患者さんとしてお母さんとして、命をかけていらっしゃるのですね。痛々しいまでの切実な状況であったことを再認識させていただきました。

Mayさん
おっしゃるとおりです。誰も悪いわけではなく、必死に生きていらっしゃるのでしょう。どんな状況なんだろう・・と思いつつも心が絞られるような気持ちでした。



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