緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

大切な人を失った子供達の支援

2007年08月13日 | 医療

7、8年前になるでしょうか。
アメリカ ポートランドにある
死別体験をした子供達の
グリーフワークのための施設
ダギーセンターのトレーナー
(サポートする人の育成に関わっている人)
のシンシア ホワイトさんを
中心とした研究会に参加していました。

大切な人を亡くした子供達の
心理的な変化を学び
支援するスキル・トレーニングを受けました。

そこに、あしなが育英基金の方が
トレーニングを受けにいらっしゃっていました。

交通事故や自殺などで親御さんを亡くされた
子供達の進学等の援助をはじめ
数々の支援プログラムをもっていらっしゃいました。

治療から看取りまでの病院から一歩出て
この時、参加した研究会で
今まで知らなかった
子供達の心の葛藤に触れることが出来きました。

子供達は、自分を責めるのだそうです。

自分達が何か出来たはずなのに
親の自殺を止めることができなかった。
自分達のせいで病気が悪化してしまった。
外出を止めていれば事故にあわないですんだ。
自分が生まれていたから
親は死んでいかなければならなかった・・・



誰が見ても子供達のせいではないと
理解できることも、長い長い間
自分を責め続けることもあるようでした。

この研究会に参加して
私は、病院での治療中の方であっても
その子供達への病気の説明や
心理的な声かけに
もっと、心を注ぐべきだと感じました。

昨日書いたお母さん・・
もし、万一のことがあったとき
このお子さん達は
自分達が良い子でなかったから
お母さんに負担をかけて死んだと
責め続けてしまうかもしれません。

死別後の子供達を支えるトレーニング・・
私は、これを受けていなかったら
緩和ケア医として働きながらも
今もこうしたことを知らないで
過ごしていたかもしれません。
とても、大切なことだと思いました。


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2 コメント

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昨日のレスですが・・ (himawari)
2007-08-14 21:21:24
昨日のお母さんへのコメントには私の友人の経験が頭に浮かんだのです。友人は私よりはるかに料理も上手で家事も得意なウオーキングマザーで彼女の両親、旦那さまお子様3人という家庭です。そのお子さんの末の子(女の子)が高校生の時、学校にもたまにしか行かず、家に帰らない日も多く、調べたらその子の口座に心当たりのない男性からの定期的な振込もあったそうです。彼女は心労で眠れない食べれない日々でした。もちろん彼女なりいろいろな努力をしていました。もし昨日のお母様の叫びがそんな状態のわが子へ命をかけて、自分の命と引き換えでもわが子に目覚めてもらいたいと思う叫びだったら・・・と思った書き込みでした。
返信する
母親としてそれは辛い・・ (aruga)
2007-08-14 23:02:04
himawariさん
ご友人の方、まさかと思うような出来事でいらっしゃったことでしょう。なるほど、我が身の命をかけてという意味感じます。コメントありがとうございました。
返信する

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