プロメテウスの政治経済コラム

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大手ゼネコン 談合廃止の談合

2005-12-29 16:27:01 | トピックス
ゼネコン大手4社(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)が、来年1月4日の改正独占禁止法の施行と同時に法令順守(コンプライアンス)を徹底し、入札談合と決別することを申し合わせていたことが28日、明らかになりました。関係者の話によると、4社の動きは11月上旬から始まり、ごく一部の役員で改正独禁法への対応が検討され、最終方針が決まったのは12月20日ごろで、改正法が施行される来月4日以降、民間工事を含めて談合行為を今後、一切行わないことを申し合わせたとのことです(朝日新聞05.12.29付)。談合廃止のために談合する、いかにも建設業界らしい対応です。
朝日新聞は「各地域の談合組織では、4社の担当者が中核メンバーになっているところが多いとされ、配置転換で組織の解体につながる可能性が高い」として建設業界に談合廃止への流れができるのではないかと期待を表明しています。しかし、公共工事に纏わる利権は政官業癒着の構造に根ざしており、業界が襟を正したポーズをとって簡単に改善されるものとも思われません。今度の動きについて大手ゼネコンの営業幹部は「ゼネコン汚職事件後も、談合担当者の配置換えなどをしたが数年後には元に戻った。今回も本当に談合をやめるかは疑問だが、改正独禁法の罰則強化で新たな対応が必要になってきたのは間違いない」と話しているようです(「赤旗」05.12.29)。
そもそも日本の談合課徴金は欧米に比べて軽すぎます。課徴金の額は、違反対象となった受注額の6%(改正独禁法で10%に引き上げ)。大手ゼネコン幹部も「運悪く見つかって課徴金を払っても、談合をした方が得」というほどです。EU(欧州連合)の制裁金は違反対象にとどまらず、会社の全体の売り上げを対象に10%を上限に算出。アメリカでは違反対象の売り上げの15―80%の罰金がかかります。課徴金などを1社で最も多く払った一位企業の金額を比較してみると、EUやアメリカでは五百億円台にたいし、日本はわずか十六億円です。
一般競争入札で談合をやめると高値受注は難しくなります。そこで、大手ゼネコンは、価格競争ではなく、「技術評価」もくわえた「総合評価方式」や、予定価格を設定せず、設計・施工を一括して発注する方式など大手ゼネコンが圧倒的に有利となる入札方式を推進する提言を出すなど政府に強く働きかけています。日建連の梅田貞夫会長は、12月の会見で「これ(改正独禁法施行)によって、入札契約制度を変える必要が出てくる」と語っています。
総合評価方式や設計・施工一括発注方式などを推進する「公共工事の品質確保の促進に関する法律」は三月末、共産党を除く自民、公明、民主、社民の各党の賛成で成立しています。


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