プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

惑星の数が12になるかも―― 自然の謎と科学のロマン

2006-08-17 18:31:42 | トピックス

私たちの世代は、惑星を水金地火木土天海冥と覚えてきました。最近になって冥王星が1930年でなくて1980年に見つかっていたら、間違いなく惑星とは呼ばれなかっただろうとか、冥王星は他の惑星と軌道がずれていて、海王星より内側に来たり外側に来たりすることがあるから、水金地火木土天木土天冥海の時もあるなどを知りました。
通常の恒星が、お互い同士の位置を変えず星座を構成するのに対して、惑星は、星座の間を複雑な動きをするために、「惑(まど)う」という言葉から命名されていたもので、明確な定義はありませんでした。惑星の公転の速さは、太陽に近い方ほど速いという特徴がありますので、地球より内側で太陽の周りを回っている水星と金星(これらを内惑星といいます)は、地球を追い抜いていくことになります。逆に、地球より外側で太陽の周りを回っている火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星(これらを外惑星といいます)は、地球に追い抜かれることになります。地球は内惑星に追い抜かれたり、外惑星を追い抜いたりするので、地球から見た惑星の天球上の運動は複雑で「惑(まど)う」ことになります。

惑星はこれまで一般的に、「軌道を占有して太陽などの恒星を回る、ある程度の大きさを持つ天体」という程度で、これ以上大きかったら惑星というなどという明確な定義はありませんでした。冥王星は、1930年に発見された当初は、地球くらいの大きさがあると推測され、それを太陽系の第九惑星とするのになんの疑いもありませんでした。ところが、近年の観測機器の精度向上によって、観察がされるたびにもっと小さいことがわかり、どんどんと小さなものに訂正されていきました。最終的な大きさは、地球を回っているあの月よりも小さなものであることがわかったのです。そして「Kuiper Belt(カイパー・ベルト)」と呼ばれる太陽系の周辺の多数の凍り付いた物体が存在している領域に存在する物体の一つと考えられるようになりました。その領域からは、冥王星と同程度の大きさ、もしくはやや小さい物体が複数発見されはじめ、さらに2003年には、「2003 UB313」と呼ばれるかなり大きな惑星タイプの物体が米国の天文学者達によって発見され、冥王星の第9の惑星としての地位がだんだん怪しくなってきました。

そうしたなか、IAUは惑星の定義を策定する必要に迫られ、議論を重ねてきましたが、冥王星を惑星から外すのも忍びがたく議論はなかなかまとまりませんでした。
IAUの「惑星の定義」案は次の通りです。
 ・ 自己重力に支えられて球体を形作るのに十分な質量を持つ
 ・ 恒星の周囲の軌道を巡っている恒星でも惑星の衛星でもない天体
この定義だと冥王星は惑星の地位に留まることになります。当面、新たに惑星とされるのは火星と木星の間に小惑星に分類されている「セレス」、冥王星と「二重惑星」(互いに周囲を回りあっている)の関係にある「カロン」と冥王星より大きな天体「2003 UB313」の3つの天体です。

定義案が承認されれば、IAUがあげている惑星候補以外にも、今後の観測によって、惑星の数は大幅に増えると予想されます。
国立天文台によると、24日の議決で反対や慎重論が多い場合、決着は三年後の次回総会に持ち越される可能性があるといいます(「しんぶん赤旗」2006年8月17日)。チェコの首都プラハでの3000人の議論の行方が楽しみです。



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