プロメテウスの政治経済コラム

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大相撲野球賭博  どうなるNHKの名古屋場所中継   不明朗な放送権料

2010-07-04 22:15:07 | 社会問題
力士、付け人、床山に限らず、親方にまで広がっていたことが発覚した日本相撲協会の野球賭博問題について「外部」有識者からなる特別調査委員会は予定を繰り上げて、6月27日、相撲協会の理事会に対して処分案を勧告し、それを受け入れることを条件に名古屋場所の開催を容認するとの判断を示した。相撲協会理事会はこれに素早く対応し、勧告案を受け入れる方向で7月4日の理事会に諮るとし、名古屋場所の開催を先行決定した。しかし、賭博汚染の調査はこれで十分とはいえないだろう。賭博を「自己申告」した関係者を「調査委員会」任せで処分するだけでなく、相撲協会がみずから疑惑を徹底解明し、反社会勢力との癒着を本気で断ち切るがあるのかどうかが問われているからだ
早々と、名古屋場所の開催を決めた態度を見ていると、とても組織をあげて反社会的組織との関係を根絶する気があるようには思えない
そして、これに微妙に絡むのが、NHKである。われわれの受信料から巨額の放映権料を日本相撲協会に支払っている。詳細は不明だが、一場所5億円、年間30億円とも言われている。金銭問題が絡むだけに、公共放送としてのNHKの姿勢も問われることになるだろう。

 日本相撲協会の構成員が、反社会的組織(暴力団)の主催する賭博へ深く関与したとして国民の厳しい批判にさらされている。過去には親方が刑事責任を問われた暴力死亡事件、複数の力士による麻薬使用事件、横綱の暴力事件等が世間を騒がせできた中で、特に今回、力士の個人的問題ではなく、相撲協会全体が暴力団と深い関係にあったことが暴かれた事実は重大である大相撲の“ごっつぁん”体質がタニマチに暴力団を入り込ませることは、これまでもしばしば指摘されてきたところである。

日本相撲協会への批判が高まる中、NHKには、大相撲中継をめぐって先月14日から7月1日までに8700件余りの意見が寄せられ、中継に賛成の意見は約10%、反対意見は約68%だったという(「産經」2010.7.3 21:22)。
NHKの福地茂雄会長は1日の定例記者会見で、大相撲名古屋場所(11日初日)の中継に関して「日本相撲協会が4日に出す決定について、5日に同協会から説明を受けるので、6日以降に結論を出す。結論は記者会見して発表する」としている。

 ところで、NHKが日本相撲協会と交わしている放映権に関する契約内容は、公開されていない。「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(共同代表 湯山哲守・醍醐 聰)は7月3日、NHK監査委員会宛に要旨次のような監査要望書および質問書を送付している。
1.巷間、放送権料は1場所5億円、年間30億円と言われているが実際はいくらなのか、 また、その金額はどのような根拠で算定されたものなのか、放送法第23条の5の第1項で定められた監査委員の権限にもとづいて厳正に監査し、その結果を回答してもらいたい。
2.1972年当時、放送権料は年間1億円(昭和47年3月28日開催の参議院総務委員会での坂本朝一理事〔当時〕の答弁)と言われていたが、かりに現在、年間30億円とすると、この間に30倍に高騰したことになる。これは合理的理由にもとづくのかどうか、厳正に監査のうえ、その結果を報告してもらいたい。
3.日本相撲協会が公表している本場所事業収支によると、平成20年度、21年度の事業収支倍率(本場所事業収入はどれだけ本場所事業支出上回っているか)は約1.4倍強となっており、両年度とも約27億円の余剰金が発生している。このことは、本場所事業収入の約35%を占める放送権料が見合いの事業支出よりも相当高い水準に設定されていることを意味するのではないか? そうだとすると、NHKは視聴者から負託された受信料を適正、効率的に使用するという職務に反する契約を日本相撲協会と交わしていることにならないか? この点を厳正に監査のうえ、その結果を報告してもらいたい
質問事項の要点は、「2008年3月31日に開かれた参議院総務委員会で当時の理事・日向英実氏は、スポーツの放送権料の契約の内容にかかわることについては守秘義務が掛かっており、その金額を明らかにすると今後の放送権の交渉に支障がでるとして、公表を拒んでいる。監査委員はこうしたNHK理事の答弁を是とするのかどうか、見解を示してほしい。」ということである。

 日本相撲協会が早々と処分を受け入れても名古屋場所を開催したいのは、どうも金銭が絡んでいるようだ。調査委員会が早々と、力士の側には暴力団が関与しているとの自覚がなかったと結論付けたことも腑に落ちない。試合ごとに数百万円単位の金が動くといわれる野球賭博は、「胴元」や「中盆」と呼ばれる世話役が客を集め、勝った側の掛け金の一部が「寺銭」として暴力団などに流れる仕組みを関取や親方など長い経歴を持つ関係者が知らなかったといっても誰も信じないだろう。 NHKの態度も不可解である。NHKは5日夜に、検証番組「NHKスペシャル 大相撲はよみがえるのか」を放送することを急遽、決定したという。名古屋場所中継のためのアリバイ作りなのだろうか
まだまだ1件落着、ごっつぁんとはいかないようだ。

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