Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

慈恵ICU勉強会 181218

2018年12月21日 | ICU勉強会
12月18日 末梢ラインの固定方法(JC-Lancet)
12月18日 臓器提供を求められた家族(JC-AJRCCM)


どちらもICUのナースがやった抄読会。

一つ目の研究は、末梢ラインの固定って、いろいろ商品があって、メーカーの宣伝にのって採用されたりしているけど、実際には効果は大きくなく、無駄なお金が世界中で使われているのかもしれない、というのがメッセージ(そこまでは書いてないが)。

そういう指摘って、もっと広い意味で、デバイスの認可が簡単すぎるんじゃないか、薬みたいに評価したほうがいいんじゃないか、なんていう最近よく耳にする話とつながるよね。もっと高価なデバイスですら、まともに評価されずに臨床で使えてしまうのが現状(なんのことだか、分かりますね?)。

さて。これから変わっていくのだろうか?
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喀血にトラネキサム酸のネブライザー

2018年12月20日 | 呼吸
Wand O, Guber E, Guber A, e tal.
Inhaled Tranexamic Acid for Hemoptysis Treatment: A Randomized Controlled Trial.
Chest. 2018 Dec;154(6):1379-1384. PMID: 30321510.


ほお。
初めての前向き研究なんだって。しかもRCT。

Single centerだし、効果が大きすぎるし、呼吸不全を呈する大量喀血は除外されているからICUは関係ないし、だけど。
副作用はなさそうだし、安い薬だし、ちょっと興味あり。
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AKI後のACEi / ARBの使用

2018年12月19日 | 腎臓
Brar S, Ye F, James MT, et al.; Interdisciplinary Chronic Disease Collaboration.
Association of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor or Angiotensin Receptor Blocker Use With Outcomes After Acute Kidney Injury.
JAMA Intern Med. 2018 Dec 1;178(12):1681-1690. PMID: 30422153.


先日紹介したこれとは逆方向の結果。
所詮は観察研究ですなー。

真実はいつもひとーつ!

でもその真実に至るのが大変。
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ICUじゃなくてCIU?

2018年12月18日 | ICU・システム
Block BL.
Does the Term Intensive Care Unit Promote Aggressive Treatment?
JAMA Intern Med. 2018 Dec 1;178(12):1579-1580. PMID: 30422219.


Intensive care unit=集中治療室

これだと、患者さんをガッツリ治療するところという印象になってしまい、例えばpalliative careとか、そういうことをする場所ではないという印象を与えてしまう。
それよりも、例えば、

Critical illness unit=重症病態室、もしくは重症患者室

の方が広い意味になるので、現在の集中治療(これも矛盾か)の状況をより正しく示しているのではないか、という意見が書かれたVIEWPOINT。

いつだったか、どこかの科の医者が、「DNRの患者さんがICUにいるのはおかしいから早めに退室させます」と言っていた。
これ、たった一文で何個間違いがあるんだっていうくらい変な文章だ。
・DNRという言葉自体、必要なのかどうか不明
・ここでは治療制限という意味で使われているようだが、DNRと治療制限は同じ意味ではない(治療制限の方が意味がよっぽど広い)。
・治療制限の存在とICU適応とはほぼ何の関連もない(少なくとも一時的には)。
・「させます」は上から目線。どんだけ偉いんじゃ、お前。
あ、気に入らないところが4つもあった。

話がそれた。
治療制限があっても、ICU入室の適応は十分にありえるでしょ、と言いたかった。
もし集中治療という言葉が勘違いに関与しているのなら、変えた方がいいという意見には賛成。

ICUってググると集中治療室よりも国際基督教大学が上に来ちゃうし。。
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略奪雑誌に引っかからないようにするには、

2018年12月17日 | その他
考えてチェックしてから投稿しましょう。

Cortegiani A, Shafer SL.
"Think. Check. Submit." to avoid predatory publishing.
Crit Care. 2018 Nov 14;22(1):300. PMID: 30428920.


今後、国際雑誌に文献を載せる予定のある方へ。
文献が載ると、聞いたことのない雑誌からたくさんメールが来るようになります。
・この雑誌に投稿してください。
・こんな特集を組むので文章を書いて下さい。
・お好きな話題で構いませんので特集のeditorになりませんか。
・Editorial boardのメンバーになってください。
こんな内容。
そして、投稿したらお金を要求される、editorになったら名前を使用され二度と消してもらえなくなる、などなどいろいろ困ったことになる。
この文章を読んで、引っかからないようにしてください。
時々、真剣なpeer reviewの依頼も来るようになるから、ちゃんと鑑別しないといけませんよ。

そっかー、あいつら略奪雑誌って名前なんだー。
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痙攣重積に対する静注麻酔薬投与のタイミング

2018年12月16日 | 神経
Madžar D, Reindl C, Giede-Jeppe A, et al.
Impact of timing of continuous intravenous anesthetic drug treatment on outcome in refractory status epilepticus.
Crit Care. 2018 Nov 21;22(1):317. PMID: 30463604.


持続麻酔薬の投与を必要とした痙攣重積患者さんを、持続麻酔薬が発症48時間以内に投与されたか以後かで二群に分け、予後を比較(N=77)。結果は、早期投与群の方が神経学的予後が良かった。

さて、どう思う?

まず基本情報としてこちらを。

まとめると、
・痙攣重積に対する持続麻酔薬の効果を検討したRCTはない。
・投与したかどうかで比較した観察研究では、投与しなかった群の方が予後が良かった。
・投与した症例の中で投与時間で比較した観察研究では、早期に投与した群の方が予後が良かった。

さて、どう思う?

僕は、「痙攣重積」を「重篤なAKI」に、「持続麻酔薬」を「腎代替療法」に置き換えると、つい先日までの状況と同じだなー、と思った。比較的最近までRCTがなくて、その代わりに複数の観察研究が行われていて(僕もやった)、似たような感じだった。
・RRTを早期と晩期に開始した症例を比較(定義はいろいろ、ICU入室からRRT開始までの時間とか、BUNとか、AKIのステージとか)、早期開始群の方が予後が良かった。
・AKIのステージ3になってもRRTが施行されなかった症例と施行された症例で比較、施行されなかった症例の方が予後が良かった。
ね、似てるでしょ。

で、複数のRCTが行われ、全部が同じ結果ではないけれど、まあタイミングはあまり予後に関係ないようだ、が結論になった(良くもならないし悪くもならない)。

ここから改めて学ぶこと。
こういう観察研究は、RCT実施のための情報(仮説の作成、equipoiseの確認、サンプル数算出など)であって、臨床に影響を与えるものではない。

基本的なことだけど、でも大事なことなので、強調してみました。
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義務化された敗血症の報告

2018年12月15日 | 感染
Levy MM, Gesten FC, Phillips GS, et al.
Mortality Changes Associated with Mandated Public Reporting for Sepsis. The Results of the New York State Initiative.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Dec 1;198(11):1406-1412. PMID: 30189749.


先日紹介したやつの大人版だろうか。
前回のは突っ込みどころがあったけど、こっちは細かいデータすらなく、それも無理。
はいはい、と言うしかない。

お上が決めて、それにデータがついてきた感じ。そしてその結果が、名前に「アメリカ」が含まれる、二つのメジャー雑誌に掲載された、と。
はいはい、と言うしかない。
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慈恵ICU勉強会 181204

2018年12月14日 | ICU勉強会
12月4日 ECMOのweaning

ICUのCEがやりました。よく勉強していると思います。読んでやってくださいな。
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敗血症性ショックにTerlipressin

2018年12月13日 | 循環
Liu ZM, Chen J, Kou Q, et al.
Terlipressin versus norepinephrine as infusion in patients with septic shock: a multicentre, randomised, double-blinded trial.
Intensive Care Med. 2018 Nov;44(11):1816-1825. PMID: 29971593.


中国の21のICU、4年ちょっとで600例以上をRCT、薬剤は二重盲検。

おお。中国はここまで来た。NEJMも秒読みだね。
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機械学習で心外術後合併症をリアルタイムに予測する。

2018年12月12日 | AI・機械学習
Meyer A, Zverinski D, Pfahringer B, et al.
Machine learning for real-time prediction of complications in critical care: a retrospective study.
Lancet Respir Med. 2018 Sep 28. [Epub ahead of print] PMID: 30274956.


これ、最近よくある機械学習系の研究とちょっと違う。
どこがと言うと、普通はbig dataをグリグリといじって、それを機械学習させたら予測能が〇〇より高かった、みたいな感じだけど、この研究は臨床のデータ(バイタルとかも含め)をそのまま利用して、高いAUCを出している。
つまり、このアルゴリズムをICUの部門システムに導入することができて、リアルタイムに死亡率とか出血とかの確率を入室時から連続的に表示することができる、ということ。

この文献のeditorialには、そういうシステムの問題点についていろいろ書いてある。まあその数字が患者予後を改善するかと言われれば、そりゃ分からないし、間違った情報が示されて判断を誤らせたらどうするんだと言われたら、メーカーの人たちは困っちゃうだろう。

でもとりあえず、そんな数字を実際に臨床の場で見てみたい。
この患者さんは安パイだろと思っていたのに、当直中に予測死亡率がメキメキ上がり出したりしたら。。。
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