Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
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小児の敗血症管理マンデート

2018年08月01日 | 感染
Evans IVR, Phillips GS, Alpern ER, et al.
Association Between the New York Sepsis Care Mandate and In-Hospital Mortality for Pediatric Sepsis.
JAMA. 2018 Jul 24;320(4):358-367. PMID: 30043064.


ある小児の事故を契機として、ニューヨークでは2013年から規則ができた。その効果を判定した研究。バンドル一つ一つの遵守は有意な効果はなかったが、バンドルを完全に守った群では死亡率が有意に減少した(オッズ比0.59)。

この手の研究はよくあるし、今さら観察研究の一般的なバイアスについてなんて話をしても意味はないのだけど。
なんだろうか、このザワザワした感じは。

例えば。
まあどれも有意差は出ていないにしても、バンドルのそれぞれの項目のオッズ比は、血培:0.73、抗菌薬:0.78、補液:0.88と、血培が一番小さい。培養検査をすると死亡率が下がるのかい?とか。
抗菌薬の早期投与は有益じゃないなんて観察研究もあるけど?とか。
小児の補液なんて死亡率あげちゃうかもよ?とか。

SSCGが出た→バンドルを導入したら予後が改善したっていう観察研究がたくさん出た→EGDTが否定された→バンドルのそれぞれの項目についてネガティブな情報が増えた
なんていう流れもあったし。

どうもこういうストレートな研究はザワザワするが、政治的な意味合いもあるのかしらん。
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