Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ICU退室後の患者と家族の心のケアはとても難しい。

2024年05月30日 | ICU・システム
最近、これのせいでAI関係の文献ばかり読んでいて、臨床の文献が読めていない。なのでNEJMの集中治療関連の研究としては久しぶりにポジティブだったこれこれもつい最近読んだ。とくにこれは、日本の脳卒中急性期診療が、根拠に基づくようになるのか、それともくも膜下出血脳梗塞のように「我が道を行く」のかを見極める上でとても重要なのではと思ったが、この2つを読んだらそれどころではなくなった。

Kentish-Barnes N, Azoulay E, Reignier J, et al.
A randomised controlled trial of a nurse facilitator to promote communication for family members of critically ill patients.
Intensive Care Med. 2024 May;50(5):712-724. PMID: 38573403.

ICU退室後から3ヶ月間、ナースが家族をケアしても、うつの発症頻度を減らさない。

Sharshar T, Grimaldi-Bensouda L, Siami S, et al.
A randomized clinical trial to evaluate the effect of post-intensive care multidisciplinary consultations on mortality and the quality of life at 1 year.
Intensive Care Med. 2024 May;50(5):665-677. PMID: 38587553.

ICU医師を含む多職種チームがICUを生存退室した患者さんの心のケアを半年すると、患者さんの精神予後は悪化する。

フランス人は優しくないからじゃないかと言いたくなるが、それは言っちゃダメだね。
特に前者は、この研究とは異なり、介入内容が細かく決まっているようなのに、それでも効果はなし。

ICUの仕事が、患者さんとその家族を幸せにすること、それができなくても不幸せをできるだけ減らすことなら、それって相当難しい。
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