Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

集中治療医になるための研修

2015年08月19日 | ICU・システム
今月のCCMは、集中治療医の研修についての文章が、アンケートが1つ、総説が1つ、それぞれにeitorialが付いて、合計4つも掲載されている。

Hill T, Means G, van Diepen S, et al.
Cardiovascular Critical Care: A Perceived Deficiency Among U.S. Trainees.
Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):1853-8. PMID: 25978338.


アメリカで集中治療を研修中の医師134名に、あなたは循環器集中治療に自信がありますかとアンケート。例えばIABPやペースメーカーの使用に自信があるかとか、循環器疾患の研修は十分だと思うかとか。88%はもっと教育や臨床経験が必要だと回答。

Puri N, Cattamanchi A.
Can't We All Get Along?
Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):2023-4. PMID: 26274708


上記の研究のeditorial。集中治療研修における循環器疾患の教育の必要性について。

McLean AS.
Is a Single Entry Training Scheme for Intensive Care Medicine Both Inevitable and Desirable?
Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):1816-22. PMID: 25978335.


オーストラリア・ニュージーランドの集中治療研修システムがどのように作られ、現在どうなっているか、どんな問題があるか、などについての総説。多分、世界で一番最初に集中治療がprimary specialty(独立した専門分野)になったところ。研修期間は6年間。表1にアジアの国々の研修システムがまとめられている。これは初めて見たかも。どの国も集中治療は独立していないけど、共通した教育プログラムがないのは日本だけ(香港もないけど、そもそも集中治療が独立している)。

Bion J.
Primary Speciality Intensive Care: Pedagogy, Professionalism, and Patients.
Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):2020-1. PMID: 26274706.


上記の総説のeditorial。集中治療がprimary specialtyの国は、他にもスイス、スペイン、アイルランドがそうで、2011年からイギリスもそうなった。この文章はイギリス人が書いていて、最後の文章は、
That we have come so far reflects not so much the understandable desire for professional status as a speciality, but the fact that we have held fast to the link between training and better patient care.
(我々がここまで来れたのは、職業上のステータスが欲しかったからというよりは、教育とより良い患者管理のリンクを大事にしたからだ:ちょっと意訳)
コメント
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