パンと珈琲日記~整形外科じゃなくて成形~

パン焼きと珈琲を趣味とするある整形外科医の日記

全粒粉入りイギリスパン 1.5斤+2斤+丸パン4つ

2008-09-03 21:40:58 | パン
先日、「調理科学」の論文を参考に焼いた全粒粉入りイギリスパンが、あまりのおいしさのためかあっという間になくなってしまい、食べるパンも必要なので仕事から帰ってから全粒粉入りイギリスパンを作りました。どうせ作るならと1.5斤 + 2斤 余った生地でSOB-14も動員して丸パン4つ焼成しました。

全粒粉の割合は今回は25%から30%へ上げ、例のごとく液種をつくり、日中に発酵させました。しかし、気温が高いせいか、過発酵してしまい、だれだれ、、、、(ただ、過発酵させると全粒粉の欠点であるフィチン酸は分解されるので良いかもしれません) 水分は当初、論文にあるように約65~66%を予定していましたが、あまりの過発酵さに水分を調整し、約64%と心もち低く設定しました。成形は楽でしたが、先日と比べ釜伸びが若干劣りました。全粒粉を30%入れていることからやはり水分は66%程度のほうが良かったかもしれません。丸パンは電気オーブンで180度という温度設定が高かったせいか、やや色が濃く焼成されています。

時間は(液種調整を除いて)約2時間半。夕食などを食べながら片手間に作りました。全粒粉30%と高めにもかかわらず、ふんわり出来ました。


液種(日中発酵 約12時間)

全粒粉(江別製粉)   350g
水           350ml
青サフ         0.5g

本こね
 
カナダ100      770g
牛乳          405g
砂糖           56g
塩            15g
赤サフ          14g
バター          38g

成形は1.5斤は350g×2 2斤は330g×3 丸パンは残り約4分割 35~70g。2次発酵、焼成はイギリスパン、コールドスタート180度 15分 170度25分 計40分、丸パンは180度15分。





ちょっと論文を参考に焼いてみました 全粒粉入りイギリスパン

2008-09-01 22:03:56 | パン
勤務している病院ではネットで論文検索が出来て、契約している雑誌なら追加料金なしに論文そのもののPDFファイルがネットベースで手に入る。主目的はもちろん医学論文の検索だが、病院には栄養士がいるので「調理科学」などの雑誌も契約している。そんな素晴らしい(?)雑誌の論文PDFファイルなどが簡単に手に入ることを知ったのはつい最近だ。

その後、当直とか暇な時に夜な夜な宝の山の発掘をしている。

そこで見つけた論文がこれ、

「パン生地の物性, イーストの発酵能および製パン性に及ぼす小麦全粒粉混入の影響」

ポイントは抄録に書いてある通りで、全粒粉はパン用小麦粉に比べ1.3倍の吸水率でこれに従って小麦粉全粒粉を25~50%混入し、水分調整したものが評価も高く、ボリュームもちゃんと得られた、というもの。

論文ではパン用小麦粉に富士製粉緑王冠(タンパク13.4% 灰分0.44%)全粒粉に日清製粉グラハムブレッドフラワー(タンパク15.2% 灰分1.6%)を使用している。全粒粉25%でだいたい吸水が66.3%と。
手元にあるパン用小麦粉は1CWの増田製粉 カナダ100(タンパク13.2% 灰分0.38±0.03%)江別製粉 全粒粉(タンパク12.5±0.5% 灰分1.2±0.1%)多分、パン用小麦粉はそれほど違わないと思うが全粒粉はタンパク、灰分ともに若干少ない。吸水率は大幅には下がらないだろうが若干下げてもいいかもしれない。この論文によるとパン用小麦粉100%の場合、吸水率は62.5%だ。いつものようにフィチン酸の分解も考えてポーリッシュ法を応用するつもりでいるから、その点でも吸水は若干低めでいいかもしれない。で、その中間をとってきりのいい数字である65%とした。(牛乳は水分90%として計算)

で、全粒粉25%にするつもりで計算してみると、以前、勘で吸水率を決めて焼いた全粒粉イギリスパンのレシピとほぼ同じとなっていた。

結局、理論あとづけでした(笑)。

久しぶりに焼いた理論で裏打ちされた全粒粉入りイギリスパンはふわふわに出来ていい感じ。とてもおいしかった。



液種(オーバーナイト発酵)

全粒粉(江別製粉)   100g
水           100ml
青サフ         1.0g

本こね
 
カナダ100      300g
牛乳          150g
水            25ml
砂糖           20g
塩           6.5g
赤サフ         3.0g
バター         20g

成形、2次発酵まではいつもどおり、焼成はコールドスタート180度 10分 170度20分 160度10分 計40分。