スライド 臓腑熱 治療生薬
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あくまで2012年度のドクター康仁の試論つまり私論として受け止めてください。進化中の表です。
心熱(心火とほぼ同意) 治療生薬(黄連 梔子 木通 通草 蓮心)
心熱の証:
不眠 焦燥感 多夢 顔面紅潮 心悸 口内炎 舌尖のしみる感じを伴う痛み
(古典的中医学では舌は心の苗と例えられる)
著しい心火の場合には狂躁などの精神症状 舌尖が紅い 脈数
蓮心は蓮の実の中の緑色の胚芽の部分 苦寒 清心瀉火 安神に作用
煩躁 不眠 遺精に補助的に使用される。
方剤例
清営湯(せいえいとう温病条弁):生地黄 玄参 蓮心 連翹 犀角 麦冬 竹葉心
丹参 黄連 金銀花
導赤散(どうせきさん 小児薬証直決):生地黄 生甘草 淡竹葉 木通(現代では木通は通草 あるいは灯心草で代用)。両者ともに利水滲湿薬で、引熱下行し、熱を小便から排泄させる働きがある。
中医学には心―小腸―膀胱という、臓腑間の関係があり、心熱が小腸に移り、排尿痛などの泌尿器の症状がでるという病因論がある。
現代医学的には検尿しても細菌の感染が確認できない無菌性膀胱尿道炎の場合に、奏功する。
効能は清心瀉火 利水通淋であり、心経熱盛証(心胸煩熱、口渇面赤、渇欲冷水、口舌アフター)に尿混濁、排尿痛などの熱移小腸の証が加わったものに効果がある。
心熱に対する ドクター康仁の個人的感想
インフルエンザの際の異常行動について私は心熱熾盛が関係しているのではないかと疑っています。三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう 金匱要略)黄連 黄芩 大黄のような瀉心熱の方剤が今後見直されてくる可能性があると思っています。
肺熱 治療生薬(黄芩 桑白皮 知母 石膏 地骨皮 魚腥草)
肺熱の証:咳嗽 痰が黄色 咽頭痛
方剤例:
瀉白散(しゃはくさん 小児薬証直決)地骨皮 桑白皮 甘草 粳米
主薬である桑白皮は甘寒で入肺し、瀉肺鬱熱に地骨皮は清肺実熱退虚熱に作用する。桑白皮は瀉肺鬱熱作用に加え、利水消腫の作用を併せ持つ。地骨皮は枸杞の根あるいは根皮です。甘寒で帰経は肺肝腎、効能は退骨蒸 清瀉肺熱 清虚熱、清熱涼血、骨蒸(こつじょう)とは陰虚の際の午後の定時発熱、盗汗を伴い、骨の蒸されるような熱感を表す漢方用語です。軽い生津作用もあります。
五虎湯(ごことう 万病回春):
麻黄 杏仁 甘草 石膏 桑白皮 麻杏甘石湯(傷寒論)に桑白皮を加えたものです。
桑白皮湯(そうはくひとう 景岳全書):
桑白皮 黄芩 黄連 山梔子 蘇子 半夏 貝母 杏仁 効能:清熱化痰 止咳平喘
清金化痰湯(せいきんけたんとう 統旨方):
黄芩 山梔子 知母 桑白皮 貝母 麦門冬 栝萋仁 茯苓 陳皮 桔梗 甘草
清金(清肺熱)に作用するのは、黄芩 山梔子 知母 桑白皮 化痰に作用するのは貝母 栝萋仁です。麦冬は潤肺に 桔梗は痰除去に作用します。主治は内傷咳嗽、痰熱鬱肺です。温薬は陳皮のみです。桑白皮湯に比較して温薬が減り、平喘効果より祛痰熱の効能に偏した方剤が清金化痰湯です。知母には潤燥作用がありますし、栝萋には清肺化痰作用の他に潤肺作用もあり、養陰剤の麦冬が配合されていますから、肺陰の保護という治療概念が入ってきます。肺熱が長引き、やや傷津の傾向が出現した場合に適すると考えられます。
肺熱に対する ドクター康仁の個人的感想
肺熱に対する方剤はインフルエンザに十分に応用が可能。当初は銀翹散を投与し、咳嗽が強くなり、痰が黄色くなってくるようであれば、適当な清肺熱の方剤を選択しても過誤ではない。SARS治療剤で数年前に、前述した魚腥草(ぎょせいそう)は、帰経は肺、清熱解毒 排膿に作用し、古くから肺化膿症に用いられてきた。中国 貴州では魚腥草を常食にしていると聞いています。抗菌作用が判明し、注射薬は多用されています。生の魚腥草は独自の臭みがありますが乾燥品には臭気はありません。
胃熱(知母 石膏 升麻)
胃熱の概念は中国医学独自のもので西洋医学には相当する概念がない。
中医学では胃熱の原因の多くは胃熱の偏盛と情緒不安定による鬱火があい合わさるか、邪熱が胃を犯すか、辛い物の食べ過ぎによって生じるとしている。