柴胡も升麻も辛涼解表薬に分類されており、一般的作用は、疏散風熱 発散風熱であり、風熱表症:悪寒、発熱、発汗、咽痛、脈浮数 に対する薬剤とされ分類はされているが、単独で風熱に使用されることは稀である。
柴胡 (さいこ)セリ科ミシマサイコ或いはその変種の根。中国の野生種にはマンシュウミシマサイコ(北柴胡)ホソバミシマサイコ(南柴胡)がある。栽培品は野生種に比べ堅く、色が薄い。
性味 苦 微辛 微寒
帰経 胆肝 三焦 心包
効能 和解退熱 疏肝解郁 昇挙陽気
スライド柴胡
和解退熱 :
中国漢方の六経弁証(傷寒論)中の、太陽経と小陽経の引経作用に由来する作用概念であり、病邪が半里半表に存在し、寒熱往来を主症状とする「少陽病」に加え「太陽病」の高熱にも退熱剤として用いる。
私は小柴胡湯を臨床使用したことが無いので、関連事項は省略する。
疏肝解鬱 の主薬とされ、
肝気鬱結証(苛立ち、怒りがこもる、胸脇部の痛み)に対して使用される。
升?陽気 :
下降しすぎた陽気を上昇させる効能を指す。柴胡は陽気を上げすぎないのが利点とされる。
古来より中国では 「掌握ジャンウオー了柴胡チャイフー 走遍天下ゾウビエンテインシャー」といい、「病機(疾病の原因)の結び目(枢机シュージー)特に肝経、小陽経)を、柴胡を用いて解くことが出来れば天下にあまねく知られるようになる。」という言い回しがある。
風熱の際の解熱剤の注射薬が存在するが筋肉注射ではかなり痛い。
静脈注射用もあるが血管痛があるのが難点である。
疏肝理気には、南柴胡(軟柴胡)春柴胡が優れ、解熱退熱には北柴胡、(秋柴胡) が優れるとされる。
配合方剤で有名なものには、逍遥散、補中益気湯がある。
スライド 頭痛部位、経絡および引経薬
スライド 逍遥散 解析
中国では「肝病を見ると肝から脾へ伝移するのがわかるはず」という。ストレスが昂じて、肝鬱が進むと胃腸の具合までおかしくなるという意味と捉えてよい。
日本では加味逍遥散が多く用いられているが、
牡丹皮、山梔子の寒薬が2味加味されているので「冷え性」のあるご婦人には向かない。
補講:
銀柴胡インチャイフ ぎんさいこ 甘/微寒 帰経 肝胃 効能 退虚熱 除疳熱
除疳熱 子供の疳熱:食積(消化不良)に用いる銀柴胡はナデシコ科 Caryophyllaceae のフタマタハコベ Stellaria dichotoma L. var. lanceolata BGE. の根であり、柴胡とは別物です。陰虚発熱、労熱骨蒸、盗汗などの証に用います。地骨皮の退虚熱の効果に類似しています。
多くは、青蒿、鼈甲、地骨皮などを配伍します。
例:清骨散(証治準縄):銀柴胡 胡黄蓮 秦艽 鼈甲 地骨皮 青蒿 知母
炙甘草