勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

花の命

2010-04-04 02:11:50 | Weblog
 好事魔多しというけれど、とかくよいことには邪魔が入るものである。桜が咲き始めてから寒い日が続き、やっと満開になったとの知らせに、嵐のような激しい風雨が吹き荒れた。

 その昔、吉原遊郭への通路の一つであり、「おだいじん」の“山谷通い”とも呼ばれた山谷堀。今は埋め立てられて公園になっている。隅田川に架かる桜橋に続くこの山谷堀公園の桜並木は、知る人ぞ知る隠れた桜の名所である。

 その山谷堀公園を抜けて桜橋の上から眺めると、隅田川に浮かぶ屋形船が、春のうららを謳歌しながら夜の帳(とばり)を待ちかねている。

 桜橋から墨田区側に抜けると、高速道路に沿って桜並木が広がる。陽射しも見えた土曜の午後、絶好のお花見日和と思いきや、夕闇迫る頃には雨雲に覆われて今にも泣き出しそうな空模様。

 人混みの中を抜けて吾妻橋を渡り、台東区側の隅田公園に着く頃には、雨の雫が肩を濡らす。ライトに照らし出された夜桜も、心なしか寂しそう。「ハナニアラシノタトへモアルゾ、サヨナラダケガジンセイダ」と云った人もいる。 花に嵐・月に叢雲(むらくも)は世の常。花の命は短いものだ。