勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

山吹の花

2008-04-13 23:36:49 | Weblog
七重八重 
花は咲けども 山吹の
みのひとつだに なきぞかなしき
 鷹狩りに出掛けた太田道灌が雨に降られ、百姓家に簑を借りようと立ち寄る。その家の娘は八重咲きの山吹の一枝を差し出した。花をもらいに来たのではないと道灌は怒って帰ったが、後に『後拾遺和歌集』にある兼明親王の歌になぞらえた返答であったと知る。

 山吹の実と簑を掛けて、みのひとつだになきぞかなしき、と伝えた女の意図を理解できなかった己の不徳を恥じた道灌は、のちに詩歌を学ぶ。

 一重の山吹は雌しべのすべてが結実することはまれで、数個の実を付けるが、八重咲きの山吹は結実しないそうだ。

 山吹色といえば、濃い黄色のことだが、時に小判の色にもたとえらる。光り輝く黄金色もこの色に近いといわれるが、花も咲かず、みのひとつだになきぞ悲しき我が身には、どちらも縁がない。せめて黄金色の山吹の花を見て慰めよう。