勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

髪は命?

2005-09-26 23:19:22 | Weblog
 昨日に続いて髪の話です。 
「髪は女の命」といいます。金髪の大銀杏も見てみたいが、《緑の黒髪》《髪はからすの濡れ羽色》などと形容されるように、東洋人の髪はその黒さゆえ神秘的でもあるようです。

 男にとっても髪を命と思っている人も多いようで、日々薄くなっていく髪を眺めては溜息をついている御仁も多いと聞く。
以前、「一つ取って一つ捨てる」というお話をしたことがある。
ある年令を過ぎると、一つ歳をとるごとに何かを一つ失っていくという意味だが、これは自然の摂理でもあり、歳とともに髪が薄くなっていくのは当たり前。だから僕は平気。

 昔、他人(ひと)のかつらを異常に気にする先輩がいた。僕に、ある仲間のことを彼はかつらだとよく言っていた。その彼はいつも無造作な髪型をしていて、僕はかつらだとは思っていなかった。
或る日かつらといわれた彼と、その先輩と、僕の3人でお茶を飲んでいた。
かつらではないと信じている僕は、いい機会だと思って、彼に聞いた。
「ねぇ~、かつらじゃないよね?」 
すると彼は「えへへ」と笑ったきり何も言わない。
「ごめん!」そう言ったけれどもう遅い。
先輩はニヤ~ッと笑って行ってしまった。
まだ半信半疑の僕は、よせばいいのにもう一度彼に念を押した。
「かつらじゃないでしょ」
答えはまた「えへへ」

 なんて思いやりのない会話。
慌てた僕は「かつらだからといって人間の価値が変るわけじゃないものね」
それは僕の本音でもあるのだが、そう言っても虚しいだけ。

 それ以来、その先輩はかつらの人を見ると僕に言った。「かつらかどうか聞いて来いよ」
かつらの彼は、何年か後に訳あって、自ら命を絶った。
先輩は言う「お前のせいだ」と。

 日毎薄くなっていく我が髪だが、僕はかつらを着けるつもりなど毛頭ない。薄くなった髪を隠そうとも思わない。
人はそれぞれで、事情があってかつらを着けている人もいる。その人に異議を言うつもりなど決してないが・・・。

 もし仕事上かつらを着けなければならなくなったとしたら、帰るときには、かつらを外して、職場のみんなに「お疲れ様」と言って帰りたい。
2005.09.26