活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

仮城 (けじょう)

2015年10月22日 | 仏教
少し坐禅をして安心 (あんじん) らしいものを見つけたとか、恐れというものがなくなったとか、静かになったということで、そういうところに腰をおろしてしまうのは、よくないことです。

とにかく、【坐禅を相続していくことが大変難儀】なことです。


私達衆生は、善いことだけを続けていこうと思いますが、実は【善いことも悪いことも坐禅の為には全部薬】になるものです。

善いことも、悪いこともともに、実体はありません。

ですから、善いこと悪いことを同じように全部拾い集めて、坐禅の力にしていかなければなりません。


「法華経」に「仮城喩品 (けじょうゆ ぼん)」というのがあります。

「仮城」というのは、仮の城ということです。

一つの城を通過したら、またもう一つの城が見えてきた、次から次へと城を経て、遂に最後の城にたどり着くのは大変なことだということを言っています。


考えてみれば、私達衆生の出発というのは、【もともと何もないところから出ている】ものです。

ですから、得るとか、捨てるとか、つかむというようなものがあれば、それは本来のものではないということに、自分自身で気付かなければならないということです。