昨日はKオーナーの、ButterBall号で、
横浜沖で初セーリング。
エンジンで動くように設計されたボートのデッキには
帆装を設備できるような強度はない。
補強すべきところは補強し、
既存の強度がある部分は利用して、
工費と重量増加と重心上昇をなるべく押さえることに努めた。
ウインチは使いたくなかったので、
メインハリヤードとジブシートのロードを、テークルで2分の1にしたり、
ジブのラフテンションはタック側でコントロールするなど
レーシングヨットでの知恵も利用した。
BatterBall号の船首とアンカーベッドの
粋な雰囲気を壊さないよう、
かつ、十分な強度を確保できるよう、
フォアステイの取り付け方法にも心を配った。
一応弊社が全体のコーディネーターを務めたけれど、
設計者からセールメーカーまで、
それぞれの分野のプロたちがアイディアを出し合った。
後半は特に、オーナー御自身も艤装品取り付け工事で活躍し、
いいチームワークで、楽しく仕事ができた。
[ハウスの屋根、ブームの下に、風力発電機兼風向計。Kオーナーのアイディア]
そしていよいよ、帆走「も」できるボートに大変身したButterBall号の
初セーリング。
Kオーナーもワタクシも、ドキドキ。
横浜沖の北風、8~12ノットの風速で、
クローズホールドで3.2ノット。素晴らしい。
リーチングでは4ノット近くはいったと思う。素晴らしい。
タッキングも、当たり前のようにできた。素晴らしい。
心配した舵効きも、
エンジンの補助なしでちゃんと漁船を避けることもできた。
あとは、リーフラインを装備したり、
ハーネスを留めるジャックラインを、
目立たないようにハウスの軒下を通ってマストを回して
取り付けたりする作業が残っているけど、
Kオーナー、おめでとうございます。
受注から完成まで、時間がかかって申し訳ありませんでした。
自作のティラーとティラーエクステンションを持ちながら、
「エンジン音がないっていうのは、やっぱりいいなあ!」と
満面の笑みで初セーリングの感想を語るオーナーのお顔を見ながら、
この仕事をさせていただいたこと、大変光栄に思いました。
ありがとうございました。
さて明日からは、
ワタクシはニュージーランドに移動します。
ある日本人オーナーが発注した
あるヨットがニュージーランドで完成し、
来週、進水します。
そのヨットの全長は13.50mで
20ノットくらいのスピードで走ると想定されています。
だけど、このヨットが誕生した主な目的は、
レースに出ることではありません。
一体どういう目的で生まれたヨットなんでしょう?
この12月と1月、年末年始の休みをはさんで
初夏のニュージーランドで
そのヨットにじっくりと乗り込んできます。
その様子を、現地からじわじわと、
出し惜しみしながら報告しようと思います。