風の旅人 西村一広 Sailing Diary

海とセーリングだけの人生で考えたこと、悩んだこと、感動したこと、学んだこと、あれやこれや。

南太平洋における伝統航海術から学ぶ

2006年12月05日 | 風の旅人日乗
12月5日
西高東低の典型的な冬型の気圧配置となって、朝晩めっきり冷え込むようになりました。
さて、耳寄りな話がありますのでお知らせします。
来る12月13日(水)18:30~20:00、東京海洋大学・越中島キャンパス・第4実験棟5階大教室にて、海洋大海洋文化フォーラムが開催されます。
講師は、このブログでも紹介した海洋ジャーナリストの内田正洋さんと、西村一広さん。

参加費無料、申込不要ですので、興味のある方は、ふるってご参加下さい。

もう一つ、ホクレアの話題ですが、11月27日のハワイのチャンネル8(KHNL NBC 8)のニュースで、修理を終えてテスト航海を始めたホクレアの美しいセーリング映像が紹介されました。

こちらのHokulea Serves As A Teaching Vessel For Young Sailorsをクリックしてみてください。
また、Roy Disney Helps Hokulea Serve As A Teaching Vesselをクリックすると、あのトランスパックレースを題材にした映画(THE MORNING LIGHT PROJECT)をプロデュースしているロイ・ディスニーさんもインタービューに答えています。(text by Compass3号)

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第2回 東京海洋大学 海洋文化フォーラム
「南太平洋における伝統航海術から学ぶ日本の海洋ルネッサンス」

講師 海洋ジャーナリスト 内田正洋 氏
プロセーラー    西村一広 氏

 東京海洋大学では、平成18年度より「海洋文化フォーラム(Marine Culture Forum)」という学際横断的な定期セミナーを、年二回(6月と12月)企画することにいたしました。
 海洋文化学に関連した諸分野の専門研究者を本学にお招きして、多様な視点から海と人間との相互関係や海洋文化に関する諸問題を再考していく積極的な議論と意見交換の場としていきたいと考えております。海洋のグローバルな性格がゆえに、海洋文化研究における海洋科学・海洋工学の知見の必要性は論を待ちません。 
 第1回は、今年6月に品川キャンパスにおいて、「海と陸の間(はざま)で:渚の民俗学」と題して、大東文化大学 高桑守教授にご講演いただきました。
 
 今回は、南太平洋の伝統航海術に造詣が深く、日本の海洋文化ルネッサンスに熱い思いを持っておられる、海洋ジャーナリスト 内田正洋氏(日本大学水産学科OB)と、プロセーラー 西村一広氏(東京商船大学航海学科OB)に、「南太平洋における伝統航海術から学ぶ日本の海洋ルネッサンス」と題して、ご講演いただきます。      

 海洋学あるいは航海学の研究者はもとより、本学の教職員の皆様、学生諸君および一般学外者の御参加も歓迎いたします。
 多くの皆様の御参加をお待ちしております。

●日時:平成18年12月13日(水)午後6時30分~8時(参加費無料、申込不要)
●場所:東京海洋大学 越中島キャンパス 第4実験棟5階 大教室
(東京都江東区越中島2-1-6)

●問合せ先:東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科海洋環境保全学専攻、海洋人類学研究室[岩淵聡文教授](電話:03‐5245‐7715;FAX:03‐5245‐7339;メール:iwabuchi@kaiyodai.ac.jp)又は、海洋スポーツ健康科学教室[田村祐司助教授](電話・FAX:03‐5463‐4275;メール:tamura@s.kaiyodai.ac.jp)

「南太平洋における伝統航海術から学ぶ日本の海洋ルネッサンス」

■講演要旨
 太平洋に浮かぶ島々では、古代から帆走カヌーによる遠洋航海が盛んでした。風と海流だけを動力に何千キロもの旅を続けるのですが、当時はまだコンパスなど近代的な航海計器は存在しませんでした。航海士は星の位置や波・風の変化を読み取りながら航路を割り出す「スターナビゲーション」なる伝統航海術を使い、船を操っていたと伝えられています。ハワイに最初に移り住んだのも、そんなカヌーを使ってポリネシアから渡ってきた人々でした。ハワイの島々にポリネシア文化は定着しましたが、やがて18世紀後半に西洋文明の波が押し寄せ、古来の文化習慣とともにカヌーによる航海も近代化の影響を受けることになりました。しかし、1970年代に入ると、ポリネシアをルーツに持つ伝統文化をもう一度見直すことでハワイ人の誇りを取り戻そうという運動が高まります。

 こうした流れの中で、祖先がいかにして海を渡って来たのかを学術的に検証するために1975年に造られたのが「ホクレア号(幸せの星の意)」です。しかし、残念なことにホクレア号が完成した時、伝統航海術を継承している人物がハワイにはすでに存在しませんでした。その時、先住ハワイ人の血を受け継ぐナイノア・トンプソン氏が、この伝統航海術の希少な継承者であるミクロネシアの航海士に師事し、失われつつあった航海術を習得し、タヒチ~ハワイ間をはじめ、様々な遠洋航海を成功させます。こうした航海の成功は、ハワイの人々に民族としての誇りを呼び起こさせるきっかけとなりました。ホクレア号は、現在までに地球の4周分の距離を旅してきました。当初の伝統航海術を検証する目的を終えた今、次世代の若者に伝統航海術を有していた海洋民族としての誇りを伝えるための教育の場としての役割を担っています。さらに、今後は各国へ航海し、お互いの文化を尊重し合いながら文化交流「アロハ・スピリット(友愛の心)」をはかるという活動も予定されています。

 その友好航海の一貫として、来年2007年1月に、ホクレア号はハワイを出発し、ミクロネシアを経由して、2007年4月から5月にかけて、日本の各地(那覇→長崎→山口→愛媛→横浜)を訪れるプロジェクトがスタートします。今回は、そのプロジェクトの日本側の中心メンバーのお二人に、「ホクレア号」日本航海の意義と日本における海洋文化の現状および今後の展望について語っていただく予定です。
 
 なお、ナイノア・トンプソン氏は今年9月に福岡市で開かれた福岡県・ハワイ州姉妹提携25周年記念事業「ハワイ文化セミナー」で来日の折、東京での記者会見の後、品川キャンパス南の天王洲運河および高浜運河をアウトリガーカヌーで1時間程度、爽快に漕がれました。

内田正洋氏 プロフィール 海洋ジャーナリスト。1956年長崎県大村市生まれ。日本大学水産学科(遠洋漁業学専攻)卒業。91年にはシーカヤックで台湾から九州、92年には西表島から東京湾といった遠征を行う。93年には南米最南のナバリノ島からマゼラン海峡を超え南米大陸に到る遠征も敢行。海のカヌー関連の記事が専門。98年、ナイノア・トンプソン氏の初来日時に、トンプソン氏の訪問を受け、以来ホクレア号日本航海の意義を探っている。雑誌ターザン特別編集号「ホクレア号について語ろう」の寄稿編集者。2002年にはシーカヤックのバイブル「シーカヤッキング」翻訳書の監修を行う。日本レクリエーショナルカヌー協会理事。

西村一広氏 プロフィール プロセーラー。1954年福岡県芦屋生まれ。東京商船大学(現・東京海洋大学)航海学科卒業。ヨット専門誌「舵」編集部を経て、プロのセーラーとして独立。ジャパンカップ優勝、全日本マッチレース優勝など国内のレースだけでなく、トランスパシフィック・レースなどの国際外洋ヨットレースに多数参戦して好成績を収める。また、ヨットレースの最高峰といわれるアメリカズカップにも、日本代表チームのメンバーとして挑戦。なお、今年春の太平洋横断航海において「太平洋横断航海:サンフランシスコ~横浜」の世界最短時間記録を樹立した。著書に日本のアメリカズカップ挑戦をクルーの一員として内部から描いた「風の旅人たち」(舵社刊)などがある。
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