12月30日 横浜ふたたび

2012年12月31日 | 風の旅人日乗
東北地方からの帰り道、横浜で途中下車。
かつて海外の外洋ヨットレースで
一緒に乗って闘ったチームの面々と
年納めの食事会。
5時間以上、懐かしい話で盛り上がる。

ニュージーランドでの厳しい合宿のこと。
最終レースのミスさえなければ総合優勝できたハワイの国際レガッタのこと。
いいチームの中で充実した時間が過ごせた幸せ。



未来に向かって
ゆっくりとまた歩きはじめる元気が、
モリモリと湧いてきた。

12月29日 宮城県塩竈

2012年12月30日 | 風の旅人日乗
宮城県の、塩竈へ。



将来この町を、
日本の次世代たちが乗る帆掛け船が
海から訪問する日があることを願い、
その時の入港方法の調査のつもりで
まだまだ地震と津波の爪痕が残る港の海沿いを歩く。



この港町が、また元気を取り戻して
いいことがたくさん起きますように。




12月27日 よこはまたそがれ

2012年12月28日 | 風の旅人日乗
石川町で京浜東北線を降り、
人々が忙しげに歩く元町商店街を通り抜け、
大型トラックが行き交う本牧の、
救命いかだ製造会社にお邪魔して、
いろいろとご相談と打ち合わせ。

次の約束の東京・新橋まで時間があったので、
本牧から山下公園を抜けて、横浜駅を目指して歩く。




途中、桜木町で寄り道。
この練習船に乗って、初めてハワイに行ったんだよね。



船の一番前に立つこのフォアマストの、
ロイヤルと呼ばれる一番上のヤード(帆桁)の
ポート側(左舷側)に立って(掴まって)、
「ごきげんよー!」って、登檣礼(とうしょうれい)をやったんだよね。

ハワイでは、
このマストの横にはランドマークタワーではなくて、
アロハタワーが椰子の葉擦れの音と一緒に立ってたよね。

さあて、
明日と明後日は、仙台へ。

津軽海峡から、クリスマス・プレゼント

2012年12月26日 | 風の旅人日乗
南半球から日本の関東地方に帰ってきたら、
寒い。

いつの間にか恒温動物から退化して変温動物になったらしく、
身体が動かない。
正確に言うと、ココロとカラダが、この寒さにめげた。

そんな折、もっと寒い北の国から
クリスマス・プレゼントが届いた。
クリスマス前日に津軽海峡を元気はつらつで泳いでいるところを
北国の屈強漁師に掬い取られたイカたちだ。


(今年7月、津軽海峡の海から大間の町を見る。今の季節のこの海は、大変厳しかろう。)

津軽海峡の海中から
24時間もかからずに葉山に届いたイカたちは、
まだ自分の隣にいるモノの色に合わせて
身体の色を時々刻々と七変化させている。
真っ黒な目をまじまじと見開いている。

今年の冬と夏に訪れた北国のことを思い出す。



今年の七夕の日の、函館。ここで食べた塩ラーメンも、美味しかったなあ。
ココロが温かい人たちにもたくさん会えたなあ。




今年2月の、北の終着駅。




海は凍っておった。

でもさ、こんなに厳しい冬でも、
しっかりと前を向いて過ごしている人たちがいるんだよなあ。

一緒に届いた北国のお酒と一緒に
ココロとカラダを温め直した変温動物は、
北の国に住むサンタクロースから
この寒さを乗り切る元気を、しっかりと頂いたのでした。

ありがとうございました。




12月21日 夏至

2012年12月22日 | 風の旅人日乗
12月21日、夏至。
これ、一度書いてみたかったー。
やっと書けた。



日本へのお土産にする松ぼっくりを拾いに、
使わせてらっている事務所の近くの丘に登る。
日本にはない巨大な松ぼっくりが、
お土産として意外とウケる。
遠くに見える山並の向こうはタズマン海。
そのさらに向こうには、オーストラリア大陸。



日本で昼の時間が一番短い日は、
南半球のニュージーランドでは
昼の時間が一番長い日。

セーリングテストも一段落し、




南半球の夏至の日に、
2012年の活動を一旦締める。




12月22日早朝、荷造りをして空港へ。


いつもの部屋から見える、夜明け前の東の空。
煙突のシルエットの左に、明けの明星、金星。

これから日本に戻り、しばし休憩です。


12月19日 リグ・チューン

2012年12月19日 | 風の旅人日乗
夜中にふと目が覚めて、時計を観ると3時33分。
窓に目をやると、夕方からの雲が切れて星空が。

ベッドから抜け出し窓際に行って、空を見上げる。
おっ、東南東の空に、南十字星。

なんだか嬉しくなって、そのまま起き出すことにする。
日の出まで2時間ちょっと。それまでの間に、
パソコンを開いてメールチェックや調べものなど。



JPN6630のほうは、
ボートビルダーたちが、船内とコクピットの細部を仕上げている。

作業中の彼らを乗せたまま、リグのファイン・チューン。
アフト・レーキとプリベンドも適正になって、
離れたところから見るマストの立ち姿も美しくなってきた。



徐々に、徐々に、
艇全体の完成に近づいて来ています。

日本で、日本のセーラーたちに、
オーナー御自身がこの艇の詳細を発表する日も間近です。






12月18日 ホビットHobbit

2012年12月18日 | 風の旅人日乗
AucklandとTaurangaの間の片道3時間を、
クルマで行ったり来たりが続いている。

Taurangaでのテストセーリングも順調。



オークランドからタウランガに行くルートは2つあって
ちょっと距離は伸びるけど、運転が楽しいほうのルートの途中に
Matamataという町があって、
そこでトイレ休憩をして、フラットホワイトを飲む時間が
プチ幸せ。



この町は、
いま話題の映画Hobbitの、メインのロケ地だ。
町の観光案内所もこんな感じ。



先週の週末、友達家族の子供たちに誘われて
オークランド郊外の大型ショッピングモールにある映画館に
その『ホビット 思いがけない冒険』を観に行った。

ニッポン人加齢者が観ても結構面白かったけど、
3D画面について行くのが大変だった。
飛んでくる火のついた棒を慌ててよけて、
ニュージーランド人のガキどもに笑われた。

あの場合、よけなきゃダメだろ、ふつう。

12月16日 オークランド

2012年12月16日 | 風の旅人日乗
昨日は、あるセーリング関係者に会いに、
タカプナビーチに。



昔々、夢を持った多くの無名日本人セーラーたちが、
この写真の左斜め後ろに今もあるキャンプ場にテントを張り、
その横に愛艇を置いて、
何週間も寝泊まりしながら、
この前の海を道場にしていたニュージーランド人セーラーたちに
他流試合を挑んだり、学んだりして、腕を磨いていたものだ。



みんな、お金は悲しいくらいなかったけど、
夢は、両手で抱えきれないくらい持っていて、
幸せだったよね。



今朝も、
朝日を全身に浴びながら、
未来への思索にふけりつつ、歩く。走る。




12月15日 アオテアロア 15日目

2012年12月15日 | 風の旅人日乗
日の出とともに起き出して、
朝のウォーク&ランに出発。


[オークランドで泊っている部屋から見える日の出。贅沢な景色です]

朝凪の水面に、朝日が反射する。



うーん、
自分の眼に見えた色は、この写真のような色ではなくて、
大好きな絵本の一冊、ユリー・シュルビッツの『よあけ』の
中にある絵に描かれた色だったんだけどなあ。
だいぶ、違うなあ。


©福音館書店 ユリー・シュルビッツ作・画 瀬田貞二翻訳


昨日お昼、チームニュージーランドのコンパウンドに行って、
スキッパーのディーン・バーカーから、
彼らのアメリカズカップ挑戦艇の1号艇の詳細を見せてもらう。


photo©EmiratesTeamNewZealand

現在のチームニュージーランドのコンパウンドは、
2000年のアメリカズカップのときのアリンギのコンパウンドを
そのまま譲り受けたもので、
1階にあるセキュリティーゲートのドアをくぐると
受付は3階にあって、そこまで長い階段を上がらなければならない。


photo©EmiratesTeamNewZealand

そのことに気を遣ってか、
ディーンはわざわざ下のゲートの外で待っててくれた。
そこは通行人も多く、サインをねだられることもあるだろうに、
申し訳ない。
誠実なディーンの人となりが伝わってくる。

重要なミーティングとミーティングの間の、
貴重な昼食の時間を削って、
船体とウイングが収まる広大なシェッドをくまなく案内してくれながら
船体とウイングの非常な細部までを詳しく説明してくれる。



photo©EmiratesTeamNewZealand

チームニュージーランドの来年のアメリカズカップ挑戦の1号艇の細部や、
空高くそびえ立つウイングを制御する構造についてはね、
セーリングの専門誌にジャーナリストたちが詳しく書ていると思うし、
ワタクシが書きはじめると長くもなるので
ここではいちいち紹介しませんけれども、

私たちニッポン人セーリング関係者が勉強しなければならないことは、
累々と溜まりつつあり、それはすでに膨大な量に達しています。
知ったかぶりしてカッコつけている訳にはいかなくなっている、
ってことです。


photo©EmiratesTeamNewZealand

フライング・モスと違って、
AC72ではラダーのフォイルをセーリング中に動かすことは、
クラスルールで許されていない。
ダガーボードのフォイルも、ダガーボードに固定されている。
その縛りの中で、
両舷とも空中に浮かんでいる船体の前後トリムを
どのように制御しているか、分かりますか?


少し呆然となったまま、事務所に戻り、
遅い昼食をテイクアウトで買い、
それを持って、近くの運動公園に行って芝生に座り、
オークランドのスカイタワーを遠くに見つつ、
いろんなことをボーっと考えながら食べる。



だけどさ、ニッポンのセーリング界にだってさ、
希望はあるんだぜ!!


気仙沼沖の太平洋から昇る朝日。July 18, 2012

12月13日 ニュージーランド アオテアロア 13日目 おやすみなさい

2012年12月13日 | 風の旅人日乗
ふー、今日も一日が終わりました。
オークランドは、いい初夏の一日でした。

アップダウンの多いオークランド市内で、
今回は自転車通勤をしているので汗だくになり
夕飯のときのビールが、うまいってものじゃない。

本日午後はオークランドで係留予定のマリーナの桟橋を
実際に目で確かめ、係留方法を確認。

その後、セールメーカーに行って打ち合わせ。



これはヘビーウエザージブで、見えているのは
ソフトハンクス。
なるほど、なるほど、の工夫、発想。

セールの進化は止まらない。
常に前進し続けている。
以前と変わらず、
ニュージーランドにいると勉強になることだらけだ。

でも、こういう技術もみんな、こんな船の歴史と直に繋がっている。
未来を見失わないためにも、こういう船のことも大事にしないとね、いかんよ。


Hokule'a at Molokai Is, July 2010 photo©Kazu Nishimura

明日は、午前中、来年の船積みについての打ち合わせをした後、
こちらの新進ヨットデザイナーに会って、
彼の新しい40フィート艇のデザインを見せてもらう。
リフティングするカンティングキールその他、
新しい発想がたくさん盛り込まれたヨットらしい。

彼とは、数年前、
モノハル艇での太平洋横断セーリングで一緒に乗った。

彼がデザインした30フィート艇は、
クリス・ニコルソンが乗るクラス40に、
フィニッシュタイムで1時間半の差をつけて勝ったらしいから、
デザインを見せてもらうのが今から楽しみ。

午後は、
12時過ぎにチームニュージーランドのコンパウンドで
ディーン・バーカーが待ってくれていて、
来年のアメリカズカップに挑戦する、
チームニュージーランドのAC72を詳しく見せてもらう。

本当はワタクシなんかではなく、
ピチピチの若い日本人セーラーに間近で見てもらって
未来のニッポンのアメリカズカップ挑戦に向かって
熱い血潮をたぎらせて欲しいんだけどな。

では、おやすみなさい。


12月13日 ニュージーランド アオテアロア 13日目

2012年12月13日 | 風の旅人日乗


写したかったのは
美しいカーボン製のブームエンドではなく、
水平線の上に見える
白くて長い、美しい雲だったのだけれど、
よく見えないね。
自分の眼で見たそのままが、写真に写るといいのにな。

ニュージーランドでは、
山でも、海でも、
真っ白に輝やいて、横方向に長く伸びる
本当にきれいな雲をよく目にすることができます。
なぜあんなに真っ白な雲ができるんだろう?
不思議。

このような美しい地球の光景を、
このヨットの上から、
写真ではなく、自分自身の眼で、
たくさんの次世代日本人たちに見てもらうことができたらいいな、
と心から願う。

マオリの人たちの言葉で「アオテアロア」とは、
白く長い雲、という意味らしいけど、
それはまた、この島々のことを指す言葉でもある。

1000年前にセーリング・カタマランに乗って
この島々を見つけた彼らのほうが、
ヨーロッパ人がこの島を見つける800年近く以前から
この島々に先に住んでいたのだから、
本来この国は、アオテアロアと呼ばれるべきだし、
この国の自然の美しさを表現するのにも、
ふさわしい呼び方ではないかと思うんだけどな。


安全備品関係の会社を回って打ち合わせするために、
昨日夜からオークランドに移動して、市内に滞在中。

日曜日午後にはタウランガに戻る予定。

12月11日Tauranga 9日目 初セーリング

2012年12月12日 | 風の旅人日乗
リグとセールのテストのために、
初セーリング。



性能テストはこれからだけど、
とてもいい感触。

このプロジェクトの構想が
ある夕食の席でスタートしてから
すでに1年と9ヶ月。

発案者の人物のココロの中では
もっともっと前に生まれ、育ち始めていた
壮大なプロジェクト。

依然、責任重大。



12月10日Tauranga8日目

2012年12月10日 | 風の旅人日乗
夜明け前、
ブラインドを上げて見てみたら、
東の地平線に「かぎろひ」。

ドアを開けて
ひんやりした空気を胸いっぱいに吸い込んだら
恍惚となるくらい気持ちよかったので、
林檎を一つポケットに入れて
早朝散歩に出かけることにした。



湾の奥の方向に歩いていっていたら、
早朝練習のロウイング・ボートが、たくさん出て来た。
出勤前のトレーニングかな。
メリル・ストリープの映画で、そういう設定の映画があったなあ。



ニュージーランドのボートは、
オリンピックで結構強い。

早朝の朝凪は、
ヨットやウインドサーフィンの練習には向かないけれど、
ボートの練習には最適。

ふー、今日も、いっぱい働いた。
明日は、いよいよセーリングです。


12月9日Tauranga7日目 夕方

2012年12月09日 | 風の旅人日乗
日曜日なので、誰も仕事に来ない。
キリスト教の国では、働いてはいけない日なんだよね。

でもオイラ日本人。
働いてもキリストさんに怒られる言われはない。
マリーナまで片道40分を歩いて行き、船で仕事。

夕方街に戻り、夕食の前に、海の見える芝生公園のベンチに座って、
少しだけ自由時間を楽しむ。



さあ、明日からまた新しい週が始まる。
来週はいよいよテストセーリング、始まりますよー。