長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。
富士田吉治―8「鷺娘」
次は再び鼓唄。
「恋に心も移ろいし
花の吹雪の散りかかり
払うも惜しき 袖傘や』
「傘」を引き出したところで、今度は「傘づくし」。
傘を持っての軽快な振りとなる。
このくだりのリズミカルな歌詞は、
「百千鳥娘道成寺」の『さっさどんどん』風。
『傘をや 傘を差すならば
てんてんてん 日照り傘
それえ それえ
差し掛けて いざさらば
花見にごんせ吉野山
それえ それえ
匂い桜の花傘
縁と月日を
廻りくるくる 車傘
それそれそれ そうじゃえ
それが浮き名の端となる』
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tea breaku・海中百景
photo by 和尚