西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

鏡獅子―69

2009-07-13 | 曲目 (c)yuri saionji
連獅子―5


親獅子の愛の試練に耐え、無事駆け登った子獅子。
ほっと安堵の親獅子。
二頭の獅子は、しばし無心に蝶と戯れる。

牡丹に胡蝶は「相生獅子」からの定番セット。
従来は作り物で、添え物にしかすぎなかった胡蝶を、
胡蝶の精としてメインに登場させたのが、
「鏡獅子」下の巻き「胡蝶」だ。
歌詞こそ違えてはいるが、イメージは「連獅子」のこのくだりそっくりだ。
 
『猛き心の荒獅子も
 牡丹の花に舞い遊ぶ
 胡蝶に心和らぎて
 花に顕われ葉に隠れ
 追いつ追われつ余念なく
 風に散りゆく花びらの
 ひらりひらひら翼を慕い
 共に狂うぞ面白き

 折から笙笛琴箜篌の
 妙なる調べ舞いの袖』

前半は意訳の必要はないだろう。

「…ちょうどその時
 天空から、笙 笛 琴 箜篌の
 妙なる音楽が流れて来た
 さあ、菩薩がお出ましになる時だ、 舞おう」


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tea breaku・海中百景
photo by 和尚