「淡島」-4 2012-09-24 | 笑えます、長唄(c)y.saionji そして淡島願人はのたまう。 「味食いしめての居続けに 永居不埒の病となっても 金をば水の淡島と 使わせんとの御誓願」 ●連日連夜のお茂り(情交)で、抜け殻衰弱状態になったとしても、 金をばどんどん湯水の如く使わせなさい、と菩薩がお望み。 生身の菩薩さまに、金も精力も吸い取られた取られた男は、 あわれ病の床につく。 訳知りの君子は、 「色里に遊ぶは、金を淵に投ずるにひとし。 所詮、乏しき人は遊ぶべき処にあらず」 と戒めている。ご用心ご用心。 〓 〓 〓 tea break photo by 和尚
「淡島」-3 2012-09-23 | 笑えます、長唄(c)y.saionji 「淡島」-3 井原西鶴の「好色一代男」の主人公、浮世之介は子供の時から色に目覚め、 三都の遊女といわず、鄙の女郎といわずあたりかまわぬ魚色三昧。 還暦にして好色丸にうち乗って、女ばかりの女護が島に船出したという、 生涯を色道修業にささげた強者。 その世之介が郭の守り本尊だというのだから、客はたまらない。 また、本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)をふざけ倒し、 生身の女郎の姿を神の化身とし、 その真実身を菩薩とする悪洒落も、 いかにも淡島願人ならでは。 〓 〓 〓 tea break・海中百景 photo by 和尚
「淡島」-2 2012-09-22 | 笑えます、長唄(c)y.saionji 淡島願人は、女郎屋の帳場に祀ってある色の神様、浮世之介を暴露。 気をつけなはれと警告する。 『本地は即ち 虚空無天の御容姿にて 丑寅の御方は 一代男を守り本尊と掛けられて 腰より下は地につかず とんとはまるが浮世川 うつぼ舟やら 山谷舟』 ●女郎の本地は、誰をも拒まぬ広大無辺な菩薩の姿。 屋形鬼門の方角には、浮世之介が守り本尊として鎮座しているのだから、 その通力で腰から下がそわそわと落ち着かず、色の川にどっぷりはまるは道理。 〓 〓 〓 tea break・海中百景 photo by 和尚
「淡島」-1 2012-09-21 | 笑えます、長唄(c)y.saionji 紀州の加太淡島海岸に、淡島明神という神社がある。 この明神様は女神で、女の病に霊験あらたかとされている。 ゆえに下の病にかかりたくない吉原の遊女の間では大人気。 淡島様はわざわざ出向かなくても、向うから来てくれる。 白装束に身を包み、淡島明神の雛形を納めた厨子を背負った”淡島願人” は江戸吉原が稼ぎ場だ。 鈴を振り振り、明神の由来や縁起を唱え、お札を売り歩く。 この曲は富士田吉治の作曲(1770・明和7年)。 『加田淡島の修業者の 籬がもとに鈴の音の 振られ振られて逢われぬ恋も 願えばいつか 淡島せんとの 御誓願』 ●ご存知淡島の願人坊、鈴を振り振り格子先に参上。 女郎に振られて逢えない恋も、我が願力で逢わせましょうぞ。 だいたい願人坊というのは、いかがわしい匂いのする人種だが、 この願人坊も、そもそもは下の病が専門なのに、 恋の病もおまかせあれ、といいかげんなはったりをかましている。 〓 〓 〓 tea break photo by 和尚
「面かぶり」-2 2012-09-20 | 笑えます、長唄(c)y.saionji 「坊さま坊さまと 名ばかり坊さま 法衣(ころも)いやなり 女郎衆と寝たし それで坊さまと 言わりょうものか それさそれさ そうさんせ かむろかむろと 名ばかりかむろ なじむお客に痴話する目もと それでかむろと 言わるるものか それさそれさ そうさんせ」 子供が、坊主やかむろをからかって遊んでいるという体の歌詞。 かむろは子供だが、女郎の予備軍。 姉さん女郎の世話をしているうちに、 知らず知らず男に媚びる術を身につけてしまうのだろう。 〓 〓 〓 tea break・海中百景 photo by 和尚