西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

ちょっと一息

2009-07-18 | よもやま話 (c)yuri saionji
「鏡獅子」完了いたしました。

実に73編にも及ぶ長編となってしまいましたが、
「相生獅子」から「鏡獅子」への道のり、お分かりいただけたでしょうか。

長唄の三味線弾きである私でさえ、
このようにしみじみと分析してみたのは始めてです。

そうして見えてきたものは、芝居の現実です。
山村座が健在だった時代を含めて、江戸の四座がしのぎを削っていた
わけですから、面白くなければ客を持っていかれてしまう。

そのために智恵をだし、工夫をこらし、人気役者を揃えて
何とか興行的になりたつように努力をする。

しかも基本的には毎月よそにない新作を出すわけですから、
手を変え、品を変え、趣向を変え、ありとあらゆる手法を駆使して
作劇をしなければいけない。

客観的には面白い時代だったのだろうなと、思うのですが、
長唄の作曲者にしてみれば、日中は芝居に出勤し、
家に帰ると翌月のために、曲を作り続けなければいけないという、
それはそれは大変なストレス。
その苦労に同情する気持ちもわいてくるのです。


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tea breaku・海中百景
photo by 和尚
コメント
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