西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

鏡獅子―71

2009-07-15 | 曲目 (c)yuri saionji
連獅子―7

「勝三郎連獅子」の11年後(1872年)に今度は、杵屋正次郎(3世)が、
まったく同じ歌詞の「連獅子」を出した。
こちらは「正次郎連獅子」という。

坂東彦三郎(5代目)と、沢村訥升(2代目)による、
市村座の所作のために作られた。
作詞は不祥だが、内容からみて河竹新七の
「連獅子」を下敷きにして、
恐らくは市村座の座付き作者がアレンジしたのだろう。

勝三郎の方は、花柳芳次郎の名披露目、
正次郎の方は芝居の所作。
目的の違いが、おのずと曲に反映される。

正次郎のは、子獅子を蹴落としたあと、
なかなか登ってこない子獅子に、「やはりこれまでか」
と、落胆し、しみじみと涙するうちに、
元気よく掛け登ってきた子獅子と、
喜びの舞を舞う、という芝居ならではのドラマティックな見せ場がある。


tea breaku・海中百景
photo by 和尚
コメント
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