西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

鏡獅子―66

2009-07-09 | 曲目 (c)yuri saionji
連獅子―2

この曲は歌舞伎のために作られたものではなく、
花柳寿輔の長男の、2世芳次郎襲名の名披露目のために作られたものだ。

寿輔は西川扇蔵(4世)の弟子だったが、30才の時、
新流派、花柳流を樹立して独立。
歌舞伎の振付師として一家をなした。

「石橋」の獅子はもともとは一人で舞うものと相場が決まっているが、
今回は芳次郎の名披露目ということで、
芸の伝承の厳しさを、”獅子の子落とし”に重ねた演出となった。
ゆえに、親獅子、子獅子の二人舞いという、型となった。

従来と違って、立役の踊りなので、場面はいきなり清涼山だ。

『夫 牡丹は百花の王にして
 獅子は百獣の長とかや
 桃李に勝る牡丹花の
 今を盛りに咲き満ちて
 虎豹に劣らぬ連獅子の
 戯れ遊ぶ 石の橋』

ここは意訳の必要はないだろう。
石橋の番人、獅子に牡丹はつきもので
牡丹の咲き乱れる石橋のそばで、二匹の獅子が遊んでいるという状況。


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tea breaku・海中百景
photo by 和尚