西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

8-鷺娘

2009-07-29 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
富士田吉治―7「鷺娘」


そして、「百千鳥娘道成寺」を踏襲したクドキ。

『縁を結ぶの神さんに
 取り上げられし 嬉しさも
 余る色香の恥ずかしや』

次は流行の小歌を引用して、汐汲みの振り。
”返し歌”というのは、古い曲によくある手法だ。
”組歌”時代のなごりといえる。

『須磨の浦辺で汐汲むよりも
 君の心は汲みにくい さりとは
 実に誠と思わんせ

 繻子の袴のひだ取るよりも
 主の心が取りにくい さりとは
 実に誠と思わんせ
 しや ほんにえ』

『白鷺の 羽風に雪の散りて
 花の散りしく
 景色と見れど あたら眺めの
 雪ぞ散りなん 雪ぞ散りなん
 憎からぬ』


 〓 〓 〓


tea breaku・海中百景
photo by 和尚