ちいちゃんのひとりごと

ちいちゃんのひとりごとを勝手気ままに書いています。

もはや歌謡浪曲です

2022年10月20日 | 日記
「浪曲花舞台」(仮)
あれは昭和の42年 故郷をあとに汽車に乗る
着いたところは師匠の家か 何もわからぬこの私
これから先のつらい修行の数々に
陰で泣いては見たけれど 今更故郷に帰れない
まだ母恋しこの私 まだ父恋しこの私
見知らぬ土地での暮らしには 涙涙の物語

やっと中学卒業すれば 地方地方の旅回り
北へ南へ荷物を持って 故郷に帰れる当てもない
舞台の上から見る師匠 芸は盗めと言うけれど
腹が減っては耐えられぬ
「母さんにあいたい。父さんにあいたい。今頃どうしているのだろう?」
「私のお母さんは故郷の母一人だけです」

「おかみさんは私のお母さんじゃあないわ」
涙こらえて歯を食いしばり 耐えてきました この歳までも
何度夢見たことだろう 故郷に錦を飾る日を
いくたび挫折を味わって 迎えるこの春この善き日
もらった名前に恥じぬように
つとめる芸に咲かす華
これぞ人生花舞台 精一杯につとめます

つらい修行の数々も 今じゃあ懐かし思い出に
何度夢見た花舞台 客席埋めた他人の数
遠くで父母見ています
大きな花を咲かせた私
選んだ道に悔いはない 歩んだ道に悔いはない
芸道一筋貫くからは ここが私の花舞台
最後はきれいに散ってゆく
たくさんのご来場ありがとうございました
大きく咲かせた大輪の花もいつかは散る日がくる
今が散り際と心に決めて きれいに散って去ってゆく
受かれ継がれるこの芸は次の世までも いついつまでも続いてゆくのでございます

短編です。このあとばらしが来るといいですね。