特に目的地もなく、空の散歩感覚で飛行機を飛ばしている時は本当に楽しい。もちろん目的地を決めてクロスカントリー飛行するのも楽しいし、IFRで決められた通りに飛ぶのも楽しい。この日はこれ!という目的地になる空港を決めず、Brian RanchというUltra-light Aircraft用のPrivate空港の上空を通過し、その後でどこかの空港におりようという計画を立てた。Weather Briefingをしたが、この日は南カリフォルニアらしい真夏の天気で、Turbulenceが出ているようだが天気が崩れる心配はない。
さっそくTorrance Airportから出発。機体は相棒のMooney。以前はあれほど飛ばし難いやっかいな機体だと思っていたが、いまは手足のように動いてくれる本当に乗り易い機体となった。人間の脳、学習能力、そして何かを会得する能力というのは凄いことだと思う。脳の神秘を感じてしまう。とりあえずDownwind Departureで北東を目指すことにしたが、ふとCompton Airportにでも立ち寄るかと考えた。Comptonには友人のStuwart(自家用機2機所有)が居るが、この日は自分の飛行機の整備でもしているだろう思ったからだ。少し進路を北寄りにとり、Comptonを目指し、Rwy25Lに着陸した。そのままタクシーバックしてStuwartのハンガーを見ると、やはり彼の車が停まっていた。すぐにハンガーに前にMooneyを停めると、すぐにStuwartが出てきた。こちらもエンジンを止めて機体を降りた。メールでは何度もやりとししているStuwartだが、直接会って話しをするのは2ヶ月ぶりくらいかもしれない。この日は自身がクロカンマシンとしてレストアしたMauleの整備をしていた。30分ほど歓談し、おまけに欠損していたMooneyのノーズカウルのビスまで入れてもらい、Comptonを後にした。こういう車感覚の気軽さがアメリカの飛行機遊びの魅力。
そのまま進路を北に取ることはできないので(LAX Class B Airspaceがあるので)、Long Beach Airort, Torrance Airport, Hawthorne AirportのClass D Airspaceに囲まれたClass E Airspaceで高度を上げることにした。チャートを見れば分かるが、Compton Airportの南側でLA Riverよりも西側の工場地帯の上は、隣接する空港のAirspaceに入らない空域になっている。ここで4500ftの高度まで上昇し、そこからSpecial Flight RuleでLAXの上空を通過し、そのままSanta Monica Airportの上空まで飛んだ。目的地を決めていないので、特にSocal ApproachのFlight Followingを受けていない。目の前のBurbank Airport Class Cを避けるため、進路を海岸線側にとり、Malibuを目指すように飛んだ。そしてClass Cを避けたところで、改めて進路を北に取り、LAX Class B Airspaceの制約も無くなったところで7500ftまで高度を上げることにした。このあたりの迷路のような空域をVFRで縫って飛ぶのは本当はお勧めできるものではない。ただ、目的地も決めずに空の散歩を楽しむ為には仕方がない。
Van Nuys Airport, Whiteman Airporなどを越え、山を二つ越えると、そこにはモハベ砂漠が広がっている。軍や民間の空港が点々としていのが見えるが、基本的には何もない平地。ところどころにサーマルによって形成された雲があり、強烈な上昇気流がいくつもあった。上昇気流に入った時には高度を維持しようとスロットルを戻すが、MP15inのアイドリング並みにスロットルを戻してもピッチダウンのおかげで140ktくらい出てしまう事もあった。かなりの省エネ飛行、燃料代が節約できた。
しばらく飛んでいると、Brian Ranch Airportの近くまでやってきた。GPSでは確認できるが、7500ftの高度からだとなかなかダートの空港は確認しずらい。すこし高度を下げ、5500ftMSLくらいまで降下したところでBrian Ranchを発見した。この風ではBrian Ranchから他の機体(Ultralight)はほどんど飛んでいないと思うが、隣接する空港からグライダーは飛んでいる可能性があるので、敢えてlow approachをするのは避けた。特に特別な企画ではなかったが、これでこの日の目的達成。
そのまま180度ターンで帰っても楽しくないので、久々にHesperia Airportにでも着陸しようということにした。HesperiaはTerrain induced wind shearがあるところなので、慎重に、そして少しエアスピードを上げてアプローチしないといけない。Rwy自体は上り坂なので止まりきれないことはない。凄いTurbulenceで他には誰も飛んでいなかった。ちょっと近めのBase Turnを曲がり、80ktくらいの速度でファイナルを飛んだ。ところが、300ft AGLくらいの高度でいきなりストールホーンがなりAirspeed Indicatorの針が踊っている。さらにスロットルを上げ、ストールホーンが鳴り止んだが、酷い揺れが続く。Go aroundかなとも思ったが、そのままアプローチを続けてラウンドアウト、その瞬間またストールホーンがなりリフトを失った。スロットルを入れたがちょっとハードランディング気味にメインギアが接地し、そのままピッチとパワーを立て直して1000ft以上先で再びメインギアを接地させ無事に着陸となった。このHesperiaは燃料代が安いので、両タンクとも満タンにして再び離陸することにした。
Hesperiaからの離陸は暑さとTurbulenceとでピッチコントロールには慎重さを要求される。上り坂のRwyなので、錯覚によって少しピッチアップしすぎてしまうこともあるのかもしれないが、機体が浮いたら操縦桿を押し込むくらいのつもりでいないと怖いめにあうことになる。Hesperiaから順調に高度を上げ、ガタガタ揺れながらも6500ftまで上昇、Cajon Passを通って山の南側に抜け、そこからは飛び慣れたコースで6500ft Paradise VOR、そこから降下して4500ftでSeal Beach VORを目指し、Torrance Airport Directというコース。
3時間くらい飛んでいたが、燃料消費は極めて少なく、Hesperiaの安い燃料のお陰で財布にも優しいクロカン飛行、空の散歩となった。
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2 コメント
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- Unknown (くらげ)
- 2008-07-02 00:12:29
- モハベと言えば、廃棄予定の旅客機が駐機してある風景を思い出しますが。原油価格高騰の影響で、また同じような光景が見られるのは残念でなりませんね。
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- Unknown (C2)
- 2008-07-02 00:28:25
- モハベ空港はエドワーズ空軍基地より南西にあり、規制空域に囲まれているので、この日は立ち寄ることがありませんでした。この原油高だと、確かにモスボールされた飛行機が増えるでしょうね。この辺りだと、モハベ砂漠の東側にあるVictorville / Southern California Logistics Airportにも多くのモスボール機がいます。
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