LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

雲を縫ってPalm SpringsまでVFR飛行

2008-12-12 | Flight Log (同乗飛行)
この日は飛行機仲間のA先生が2001年式のセスナ172SPを予約しており、San Diegoまで行く予定でした。もしそれが駄目ならPalm Springsに行こうという計画。私は右座席でCo-pilot業務担当。ただ、雲が5000ftくらいにあり、VFRで山間を飛ぶにはギリギリという感じの天気。San Diegoは厳しそうで、Palm SpringsもBanning Passを安全に飛べるかが微妙なところ。AIRMET Sierra (Mountain Obscuration)が出ており、VFRで無理は禁物。無理してPalm Springsまで行く事はないが、とりあえずRiversideくらいまで飛ぶだけ飛ぼうということで、Santa Monica Airportから離陸することになった。もし雲に阻まれ最低3500ftの高度の飛行ができなければ帰還すればいい。その時には平地にあるClass D Airspaceを縫うような飛び方をして帰ってくるつもりでいた。あまり気持ちのよい飛び方ではないが、勝手知ったる南カリフォルニアロサンゼルスの空域ではこんな飛び方もありだと思っている。

この日の機体(セスナ172SP)はKN94のGPSに大きなMonitor付きで、HSIまでおごられている豪華装備。ちなみにセスナ172でHSIが付いている機体には初めて乗った。固定ピッチプロペラに固定脚、そして操作しやすい機体特性、おまけに3軸オートパイロット付き、そんな172SPという機体は操縦する楽しさより皆で気軽に2時間くらいのクロカン飛行に行くのに最適だ。この機体もシートの座り心地はなかなかよく、狭くてウルさいMooneyと比べると快適性は格段にSPが上。

Santa Monica AirportからSpecial Flight RuleでLAXの南に抜け、Hawthorne Airportをかすめるように進路を左に取り、3500ftを維持したままLong Beach Airportをめざした。雲が点々としており、そのまま雲をさけてSeal Beach VORに到達。ここから雲の様子をうかがいながら5500ftに上昇したが、途中で目の前に雲がせまり、仕方なく徐々に降下、結局3500ftでの飛行を余儀なくされた。雲は10000ft以上に伸びているところもあり、上に逃げるのは得策じゃない。仮に自分の機体をIFRで飛ばす計画でも、Icing Levelが低いこの日は7000ー10000ftあたりで雲に入ることはしたくない。Boeing737やCRJなどが9000ftくらいの高度で軽度のIcingをレポートしていた。Palm Springsに向かうIFR AirwayのMEAは山越えをする為に最低でも9500ft以上あり、その高度で雲に入ればIcingの危険が伴う。こんな低気圧に囲まれた寒い冬日は、VFRだろうがIFRだろうがシングルエンジンの機体で雲の上に行くべきじゃないと思う。

結局雲をよけながらSquawk1200で飛行となった。March BaseのClass CとOntario Class C Airspaceの間をGPSを見ながら飛び、Banning Pass入り口まで到達。ここで雲の高さが上がってきたので、そこから5500ftまで上昇することができた。最低でも5500ft、できれば7500ftないと、Banning PassでFlight Followingを受けることができず、そうなるとPalm Springs TRSAにスムーズに入れない。5500ftまで上昇したところで、Banning Airportの上空からSocal Approachを呼び、Palm Springsを目指した。Palm SpringsからはBoeing737などがどんどん離陸してくる。Long Beach同様、Class Dの空港には思えないほど忙しい。Palm Springs Towerから2000ftで空港上空を飛び、Rwy31R Right Downwindに入るようにとの指示。そして無事にRwy31Rに着陸となった。

決して無茶はせず、きちんとWeather Briefingをして雲の高さなどを確認し、仮に駄目でもどうやって帰ってくるかまで計算した上での”雲の避けながらのVFR飛行”。1時間以上の飛行を経てPalm Springに到着した時には軽い達成感がある。実際に機長としてセスナ172SPを飛ばしてきたA先生はもっと達成感を感じたことだろう。

Los Angeles Terminal Area ChartのAirspaceを熟知し、Banning PassやCajon Passなど高度によってはSocal/Josua Approachからの無線受信が困難になる事などを知った上で、かなり”知恵の輪”的な飛び方になったと思う。





皆さんのクリックでランキングが上がると励みになります。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ





keywords: Cessna, Cessna172, セスナ172, セスナ, 飛行機, 飛行, フライト, Palm Springs, パームスプリングス

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (koba)
2008-12-14 00:17:58
雲をさけながら、AIR SPACE を理解しながらクロカンをされるとは、さすがです。(僕だったら尻込みしちゃいます。。。)

それにしても今回乗られたセスナ172SPは良さそうな機体ですね。僕がいつも乗ってるのはFBOで値段が一番安い、1980年代の172Qです。
今度、ちょっと奮発して、新しい機体借りてみようと思います。
返信する
Unknown (C2)
2008-12-14 08:12:02
同じセスナ172でも年式によって色々違いがあり、特にP以前の方とR以降ではキャブとインジェクションという単純違い以外にも操作性も含めた様々なスペックが違います。色々乗って楽しむのもアメリカのGAの醍醐味です。
返信する
Unknown (くらげ)
2008-12-14 21:31:29
ピカピカのセスナがあったら是非乗りたいです。
日中の暑い日でもキャブアイスを経験した人がいるらしいです、キャブヒートをONにした途端に回転数が大幅に下がって、色々怖い思いをしたらしいです。明日は我が身です。
返信する
Unknown (C2)
2008-12-15 15:58:56
キャブアイシングはいつ起こってもおかしくないので注意が必要ですよね。本日、冬の低気圧の雨まじりの天気の中を飛んできましたが、Instrument Approachで雲を突き抜けて雨雲の下に出て雨の中を飛んでいる時にキャブアイシングを起こしました。キャブ温度計を見て安全域の温度をキープするようにキャブヒートを引いていたのですが、それでもアイシングを起こしてしまいました。結局全開でキャブヒートを引き直しましたが、着陸寸前までエンジンがラフっていました。やはりインジェクションのエンジンがいいなと思います。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。