LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

体験飛行1:2005年12月、人生初の体験飛行

2005-12-03 | Flight Log (体験飛行)
ロングビーチエアポート(LGB)にあるフライトスクールにて初のデモフライトを申し込んだ。担当は飛行機もヘリコプターも飛ばす非常に感じの良い教官。飛行機やヘリについての説明も簡単に済んでしまった。当然私の質問は飛行機やヘリコプターの安全性について。これも当然ながら“ヘリコプターも飛行機も安全な乗り物です!”との返答。しかし自分としては半信半疑。そしてデモフライト開始。事務所でヘッドセットを借りてハンガーに向うと、小汚い小さな飛行機(セスナ152)を見つけた。そしたら、なんとその小汚い152で飛ぶとのことだった。

教官がPreflight Checkを行っている様子を観ていたが、エルロンやフラップなど、なんとも頼りない。自分のイメージする飛行機と実際の小型飛行機にはかなりの開きがある。そうこうしているうちに飛行機に乗り込んだが、C152は本当に小さい。足を伸ばして座る様はカヌーに乗り込んだような感覚だ。こんなんで大丈夫か?と思いながら貧相なドアを思いっきり閉めた。そして何やら無線で話す教官。まだまだ飛行機のことが分からない自分には何が何だか理解できず、あれよあれよという間に滑走路へ。そしてついに離陸となるが、“はい○○さん操縦桿を引いて!”と操縦をこちらにまかせられた。これは怖かった。初めて小型飛行機で飛び上がった時に思ったことは、“しまった、こんなことするんじゃなかった!”の一言。正直命の危険を感じた。

 ロングビーチ上空まで来ると”旋回してみて下さい”と言われたが、極僅かなバンクをとって遠慮がちな旋回。教官には、“○○さんはいいパイロットになります。この時点で臆病で慎重なほうがいい。あと操作が柔らかいです”とお褒めのことばをもらった。そしたら突然、“でも、これだけまげても飛行機は安定してるんですよ”とバンク60度のスティープターンを決められ、おもわず“おー”と男の悲鳴を上げてしまった。30分ほどして着陸。やれやれと思っていたら、そのまま2回目の離陸!そんなサービスいらないよ!と一瞬思ったけど、この時は怖さも半減していた。もしかしたら飛行機操縦って面白いかも?!と感じた瞬間でもあった。2回目の着陸のあと、不思議と怖さは消えていた。飛行時間は42分。これが人生初フライト。自分のフライトログブックに飛行時間がついた!

 この日はそのままロビンソン社の小型ヘリコプター、R22に乗ってのデモフライト。R22でもC152よりは広い。ただ、頼りない印象の小さな機体には変わりない。エンジン始動、C152よりも図太いエンジン音、メインローターが回り始め離陸。クイーンメリー号の近くを旋回するが、この日は風の影響で結構ゆれた。上空で旋回などの操縦をさせてもらい、ヘリの操縦の難しさを味わった後LGBに帰還、と思ったら空港の真ん中の芝生の上でホバリングにトライ。これが難しく、墜落する!と思うほど揺れた。でも教官が操縦するとピタっととまる。それを繰り返すこと数回。すっかり自信を失った。でも空を飛ぶ事は楽しいと感じ、興奮していた。ヘリの飛行時間は30分。飛行機がヘリコプターの免許が欲しい!と思った。空を飛ぶ事は本当に楽しい。

最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TSAのrequirementのない古き(?)良き時代ですね (KHPN)
2008-05-04 22:10:59
筆者の方が体験飛行をなさった時は、予約さえ取れば普通のアメリカ市民同様、大抵のFBOやフライトスクールで体験飛行ができた良き時代だったのでしょうか。

私が50ドルのお試し価格につられて体験飛行を申し込んだ2007年夏の段階では、フライトスクールの校長が申し訳なさそうに「これはスクールに何らリベートが入るわけでもなくむしろ生徒獲得の妨げになっているのだが」と前置きしつつ、体験飛行といえども飛行訓練の一部とみなされるので、我々外人にはTSAのAFSP(Alien Flight Student Program)への登録と承認が要求され、そのためには、130ドルの審査手数料に加え、定められた機関での指紋の登録とその手続きのための時間が昨年(2006年)から必要になったとのことでした。

そんなこともあり私の体験飛行は結局秋になりました。

KHPNからハドソン川にかかるTappan Zee Bridgeまで行って帰ってくる30分程度のフライトでしたが、普段、車では30分程かかる橋まで、僅か5分かそこらの時間で到達したことや初めて見る空中からの橋や川の景色、そして今まで森だとばかり思っていた空港周辺地域が実はプール付きの広い高級住宅地が寄り集まっているということに気づき、随分感動しました。

head wind componentが強かったのかどうか、その当時は意識していなかったのでわかりませんが、飛行機というやつは加速すれば自然に安定して離陸するものなんだとか、control wheelは、ほんのちょっと触れるように圧力をかけるだけでいいのかとか、操縦は思っていたほど難しくないかもしれないなどと(今思えば、それらは全てインストラクターが上手にトリムしてくれていたということなのですが)、私もAviation貧乏へと突き進む道に足を踏み入れる美しき誤解となった体験飛行でした。

でも筆者の方が仰るようにGAは決して貴族的な遊びではなく車のレベルを落としたり、外食や酒を控えたり、無駄遣いをせず、熱意を持ち決して諦めなければ、誰にでも開かれている世界のように思えます。

パイロットは一見陽気でも実は慎重で大事なポイントは決して外さない、また、訓練を受けて初めてわかりましたが、実に多くのことを瞬時に同時に的確に実施することを要求される(その意味では外科医にも似ているように思えますが)ものですね。
返信する
Unknown (C2)
2008-05-06 01:07:59
この当時も既にTSAによる訓練許可というものが始まっていました。ただ法律が施行されて間もない時期であったので、色々と混乱も多かったです。この頃はデモフライトは訓練とはみなされず、TSAの許可は不要でした。私はTSAの許可を受け本格的に訓練を開始しましたが、当時は”最終試験までにTSAの許可を取っていればいい”という感じで勝手に解釈しているスクールが多かったです。

その後はどんどん規制が厳しくなり、ライセンサーが機体レンタルの為に新たなFBOでチェックアウトを受けるものTSAの許可がいるようになりました。現実的には自分がTSA許可を受けて訓練を行ったスクール/FBOの機体しかソロで飛ぶことができないような環境になってしまいました。

フライト訓練におけるTSAのシステムは無意味でアメリカのGAの足を引っぱる一因になっているだけだと思います。
返信する
同感です (KHPN)
2008-05-08 19:07:14
同感です。

実は先日TSAがらみで更に困ったことが起こりました。

私のフライトスクールのTSAでの登録名が校長の個人名になっていたのですが、先日、同氏が別のフライトスクールに移籍してしまったため、我々エイリアンは飛行訓練を中断せざるを得なくなりました。

新しい校長がフライトスクール名で新たにTSAに登録したのでもう2度と同じようなケースは発生しないと思うのですが、同じフライトスクールの訓練にもう一度130ドル払ってTSAの承認を取る必要が生じてしまい、お互い馬鹿げていると思いつつも選択の余地がないのでさっさと手続きを進め3週間のギャップの後、訓練再開となりました。

ただ、前の校長がインストラクターとしては一流で、デスク・ワークは大の苦手ということを承知していましたし、下手な私のスキルを上げるため、朝0630から何度かコーチしてくれたことを思うととても恨む気にはなれません。
返信する
Unknown (C2)
2008-05-09 01:37:58
同じスクールでTSAやり直しというのは少し納得いかないですね。また訓練再開となったので良かったですが、TSAは指定スクールでの訓練を許可するものなので、私の理解では校長が代ってもTSA許可は有効なのではないかと思います。TSAのアカウントへのアクセスはCFI資格があればスクールオーナーや校長である必要がないので、古株CFIなどがTSAを管理していることもあります。私の通っていたスクールはオーナーが代りましたが、TSAのやり直しという手続きは行っていなかったと思います。いずれにせよ、KHPNさんにとっては災難でしたね。TSAは不要な制度だと思います。
返信する
確かにTSAはあまりありがたくないですね (KHPN)
2008-05-09 07:52:13
仰るとおりTSAは、我々エイリアンにとってはGAの敷居を徒に高くするだけのような気がします。この件では新校長もTSAに随分かけ合ってくれ、私自身も何度かTSAの担当官とメールでやりとりしましたが、TSAの担当官も法律を形式どおりに解釈する以外なかったようです。

解釈としては、CFIである前の校長(仮にRO氏としましょう)の管理下で飛行訓練を受ける許可を得たということなので、RO氏が移籍した以上、現スクールはRO氏の管理下にはないので新たに承認を受けてくださいということのようです。

未だRO氏管理下でのTSA承認も生きていますので、彼が移籍したフライトスクールで彼のトレーニングを受けることはできます。1回位はCirrusのSR22を操縦してみたいなとは思っているのですが、なにせレンタルの時間単価が高いので取り合えずC172でPrivate Certificateを取得してからかなと思っています。

ところで、先の筆者の方のライセンサーに関するTSAのコメントで少々気になったのですが、Private Certificateを取得したら、あとは普通の米国市民同様、どこのFBOでも、そこのFBOの個別ルール(例えば尾輪式は100時間以上の経験がないと保険会社が貸し出しを認めない等)にさえ合致すれば我々外人もレンタルできるのかとばかり思っていましたが、実はそうでもないということなのでしょうか?(少なくともStudednt PilotではなくなっているのでAFSPは無関係ですよね)
返信する
Unknown (C2)
2008-05-10 00:53:02
KHPNさんのケースはスクールオーナーがCFIで、なおかつそのオーナーがTSAのアカウントを持っていたということですね。その場合はTSAのやり直しというのはやむを得ないのかもしれません。私の場合はオーナーは代っても、TSAのアカウントを管理するCFI達はスクールに残ったので、基本的に何も変わることはありませんでした。

Student Pilotでなくなった後はTSAと関わりがなくなるということはなく、Private Pilot Licenseを持っていてもIFRやMulti-engineなどの訓練に関わる項目を同乗飛行で行うには、厳密にはTSAの許可がいります。レンタルの為のチェックアウトの件ですが、これはTSAの中でPrivate / IFR / Multi Engineなどの定義に当てはまらず、私の中でも何も問題ないと思っていました。ただ、ロサンゼルス近郊のいくつかのスクール/FBOで機体のチェックアウトを受けようとしたら、TSAをやり直すように言われました。AOPA/TSAのサイトにも一時リンクが張られていましたが、Aicraft Solo Rentalの為のCheck OutもTSAの訓練許可を得てからという文章を記載したPDFを見せられました。どこまでTSAの規定通りにFBWOを運営しているかにもよると思いますが、外国人がCheck Outを受けるのも容易ではなくなりました。 ただ、解釈が甘く、またあまりTSAなど気にせず、何も言わずにチェックアウトしてくれるFBO/スクールもあります。
返信する
Unknown (KHPN)
2008-05-10 10:41:08
残念ながらROは雇われ校長でした。
正確に言うと、私のフライトスクールはKHPNにいくつかあるFBOのうちのひとつで、本業はCitationなどで乗客の輸送を行い、付属施設としてフライトスクールを経営しているという感じです。

所謂ファミリービジネスの会社ですが、ROはファミリーの一員ではないので、校長といっても責任だけ負わされて、経営サイドに対してはあまり意見が通らないという、ありがちなパターンだったように思えます。(だからひとりのインストラクターとして別会社で再出発したのかなと想像していますが)

話のついでに、借りられる機体(機種は殆どがG1000付きのC172SPばかり)によって、student pilotのソロ禁止の条件がついているのとそうでないのとがあって、機種も構成もlいっしょなのにどうして違うの?ときいたところ、実はスクール所有の機体は1機もなく、全てそれぞれのオーナーからスクールに貸し出されているものを訓練やレンタルに使っているのだそうです。

オーナーにしてみれば、毎週末乗るわけでもなし、むしろ貸し出して50時間毎のメンテナンスまでFBOにやってもらう方が楽という事なのかも知れませんね。

アメリカン・ビジネスの一端を垣間見るような気がしました。
西海岸の方はいかがなのですか?
返信する
Unknown (C2)
2008-05-11 00:29:29
通常のスクールの訓練機やレンタル機はほどんどが別オーナーからの借り入れだと思います。RiddleとかATPなどの大手を除き、全てスクール保有の機体という例は珍しいのではないでしょうか。 一般的には燃料代、整備費、修理費は機体オーナー持ちで、さらにスクールが機体管理費として15ー30ドル/時間をオーナーにチャージします。

C172を120ドルでレンタルしている場合、燃料代が約40ドル/時間、管理費で20ドル/時間の上前をはねられますので、オーナーには約60ドル/時間くらいの収入にしかなりません。それでも2000時間のエンジンオーバーホールまでには12万ドルの収益になります。20回分の100時間点検の出費、Annual Inspectionを含めた各種点検の出費、修理費やオーバーホール費用などを差し引いても、うまくいけば数万ドルは手元に残る計算になります。 ただ、2000時間レンタルで乗ってもらうには、相当人気の高い機体でも2、3年はかかると思いますので、1年あたりの利益はそんなに高くはないと思います。とくにキャブ仕様の時代の古い172(C172Pモデルまで)や、インジェクション仕様でもC172Rなどは修理費がかさみますので、機体を貸し出して大儲けということはないようですね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。