LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:13500ft上空の風を捕まえて最高速記録に挑戦

2010-09-11 | Flight Log (機長)
先日の日記からの続きになるが、1万フィートくらい上空で良い感じの南西の風が吹いていたので、セネカで上空に上がり、追い風を捕まえて自身の最高速更新をしようという単純明快な企画を考えた。先日は戦闘機に乗り、一昨年にはExperiemental Aircraft / Harmon Rocket II 改などで高速体験はしている。ただ、完全ソロで飛んでいる時の最高巡航速度はセネカIIターボやセネカVターボでの210kt程度。もちろん水平飛行、そして対地速度での話し。セネカIIのTASは190kt、セネカVのTASは大凡200ktだ。

サンタモニカ空港からトーランス空港まではヒヨコで飛んだ。そしてセネカIIの横にヒヨコを駐機し、そのまま乗り換えとなった。思えばセネカIIを飛ばすのは久々で、じっくりとプリフライトインスペクションをした。そして機体に乗り込んで左エンジンから始動となる。気温が高いので機嫌が良く、一発で始動。右のエンジンも始動し、ゆっくりとトーランス空港 Rwy29Rまでタクシーしていった。そしてゆっくり、じっくりとランナップを行い、いよいよ離陸となる。

Rwy29RからはStraight out departureで海を目指した。ロサンゼルスの海岸線の西に広がるロサンゼルス国際空港Class B Airspaceを避けて左へ旋回、120kt IAS、1500fpmの気持ち良い上昇を続ける。ロングビーチ空港/サンタアナ空港の南東に広がる7000ftから10000ftまでのLAX Class B Airspaceを避ける為、ここはカタリナ側の海に大きくせり出すようなコース取りをした。海上、しかもかなり沖を飛行でも気兼ねないのがマルチエンジンの利点。

そのまま11500ftまで上昇していったが、さすがターボエンジンのセネカ II、スロットルの位置は中間地点くらいで、Manifold Pressureは35inchを着実い維持。まだまだスロットルを開けられるのが頼もしい。この高度でtail windを受けるため、機首を北東へ向ける。旅客機と進路が交差(高度差は2000ft以上あり)することが何回もあった。合法とは言え、こんな飛び方してご免なさいという気持ち。この高度をこの速度で飛ぶなら、本来はSquawk CodeをもらってVFR Flight Followingを受けて管制官と交信をするべきなのだが、目的地が決まっていないフライトなので、VFR Squawk 1200のままとした。230ktくらいまで速度が出たが、思ったよりも風が強くない。ここは13500ftを試そうと、さらに上昇を続ける。巡航上昇しながらでも、210-220ktは維持し続けた。

13500ft水平飛行に入る。この日は酸素を積んでいないので、この高度までが限界。2500rpm、Manifold Pressure 35inch、ほぼ75%出力で巡航可能な出力設定を維持。機体はどんどん加速し、249kt(対地速度)を記録。Km時速にして461km/h。おそらくTASはカタログ数値の190kt台の前半だったと思う。この高度でこの数値、そしてスロットルの位置は6割程度。まだまだ開けられる余地がある。セネカは素晴らしい機体だと思う。おそらく、この機体が一番気持ちよく飛べるのは13000ー16000ftくらいの高度なんだと思う。1万フィート以下をVFRで飛ぶには勿体ない機体だ。

無意味な記録達成に機内で一人笑みをこぼす自分。そしてあまりの単純な喜びのあまり、249ktを記録したGPS画面の記念撮影を忘れてしまった!!。これは残念だった。

あまり無謀なVFR飛びを続けるのもよくないので、スロットルを少しずつもどし、ショッククーリングを避け、あまり高度を下げなくても着陸できる高地空港のBig Bear Lakeに降りることに。後日Big Bearに1泊家族旅行に来る予定があるので、丁度着陸練習になった。この日のBig BearのDensity Altitudeは8700ftだった。スロットルを残し、ノーフラップでスロットル操作だけの着陸となった。滑走路の長さが4000ft以上ある場合、1人乗りのセネカだとフラップを使わないほうがソフトランディングしやすい。9000ft近いDensity AltitudeのBig Bearでの着陸も決まり、家族を乗せても怖がらせることはないなと自信を持つ。

南カリフォルニア最安値とも言える燃料を補給し、そのままBig Bearを後にした。Rwy26から離陸し、そのまま尾根を下ってサンバラディーノ空港まで飛ぶ。そしてもう一度1万フィートの滑走路、Rwy24に着陸し、奇麗なソフトランディングを決める。セネカII/Vの飛行時間は40-50時間程度だと思うが、着陸に関しては相当な自信が着いたと思う。

サンバラディーノ空港からはStraight outで離陸し、そのままParadise VOR / PDZ、Seal Beach VOR / SLIと飛ぶいつものルートでVFRフライトをした。高度は6500ft、Socal Approachと交信しながらの安心フライト。先ほど13500ftを飛んでいた時の機体とは活き活き感が違う。スロットルも3割くらいしか開いていない。やはりこのセネカ、低高度を飛んで喜ぶ機体じゃない。トーランス空港Rwy29RにStraight in、この着陸も決まった。

この日は世間的に言うまったくの無駄飛び、しかもマルチエンジンで。でも、自分のログブックのRemarkの欄には、 "multi-engine XC flight, PA34-200T, 249kt GS!!"と記載することができた。飛行機乗りにしか理解できない喜び。これも飛行機を楽しむということ。






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