LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:初の日本人?!

2014-08-01 | Flight Log (機長)

仕事でコロラドスプリングスに出張した。せっかくなので、大自然の中を飛んでみようと、近隣の空港で機体レンタルをすることに。Colorado Springs International Airport / KCOSにもGeneral Aviationが存在するのだが、これと言った適当なスクールが見当たらなかった。定期便がガンガン入っている空港なので、GAはチャーター便等が主になる。そこで、近隣の小さな空港に目を向けると、Meadow Lake Airport / FLYという空港を発見。Airport identiferがFLY!と、非常に面白い。その中で目についたのがSprings Aviationというスクール。さっそく電話して機体をレンタルすることにした。滞在先のBroadmoor Hotelから車で1時間弱。フリーウェイを使ってその時間なので、距離的にはかなり離れている。iPhoneのアプリ、Gooogle Mapを頼りに、その空港に到着。凄い田舎の空港で、ちょっと驚くほど。大型ハンガーはあまりなく、小型ハンガーが延々とならぶ。土地代が安いのだと思うが、平地置きのタイダウンはほとんどない。あと、スクールの看板も出ていない。なんとか、そしてそれらしきハンガーを見つけ、ハーレーにまたがった二人の中年男性を発見。その1人が今日一緒に飛ぶインストラクターのフランクだった。なかなか人の良さそうな男だ。

さっそく挨拶をし、機体レンタルをして何をしたいか告げた。最初は冗談のつもりで、”この空港から離陸する初の日本人になるのかな” と言うと、スクールオーナーやインストラクターのフランクは真顔で返答し、”確かに、たぶんそういう事になるな” と言っていた。”じゃあ、俺の名前の入ったプレートでも貼っておいてくれ!”というと、ここで初めて笑いがおきた。本当は”初の日本人”というところで笑いを取るつもりだったが、どうやら冗談じゃなかったようだ。

さっそく機体に向う。Cessna172Rを予約していた。インストラクターのフランクと話しをしたが、LearJetとHawkerを飛ばすジェット機乗りだった。あと、Citation Excelも飛ばすらしい。主にDenver Internationalからのチャーター便を飛ばしているらしいが、時にはColorado Springs Internationalからも飛ぶことがあるそうだ。よりによって自分が大好きなLearjet、すぐにその事を伝えると、ニコニコして喜んでいた。フランクはほぼ全てのメーカーのビジネスジェッとを飛ばしたと言っていたが、ロッキードジェットスターとか、とんでもなく珍しい機種も飛ばしているようなので、あながち嘘でもないようだ。定期便/エアラインはSouthwestでちょっと働いたと言っていたが、生粋のジェネアビジェットパイロットだ。

機体はフランクがプリフライト済み。フランクがエンジン始動し、そしてRwy15までタクシー。そしてランナップ。標高が6800ftと超高地。マグチェックもlean to peak powerから3回転濃くしたところで行った。そしてRwy15から離陸。ここからは私が担当。ちなみに、こちらが左席、フランクが右席。言い訳だが、高翼機は飛び慣れていないと伝えておいた。離陸滑走開始。60ktくらいでローテーションしたが、流石に高地、流石に夏場、なかなか揚力を感じない。Density Altitudeは8000ftを越えていた。すぐにピッチを下げてエアスピードに乗せ、やっと上昇を開始した。しかし、そこはインジェクションのCessna172R、なかなかの力強さ。ちなみに、滑走路幅は60ftという狭さの田舎空港。だが、滑走路の長さは6000ftもあり、高地ならではの形状だ。

すぐにフランクが何をしたいがきいてきたので、滞在先のBroadmoor Hotelの周辺を飛びたいのと、Colorado Springs International Airport / Class C Airportでタッチアンドゴーがしたいと伝えた。フランクが無線とナビたんとう、私が操縦という形でフライトが始まった。すぐにSprings Approachに繫いで、Class C Airspace通過のSquawk Codeを貰った。最初は管制官からheading290を指示され、タッチアンドゴーを繰り替えず米軍のC-17の進路を避けるようひ飛行。C-17はRwy17Lでタッチアンドゴーを繰り返していた。それと進路が交差しなくなったら、好きに飛んでよいとアプローチ管制官。

フランクに案内され、Garden of the Godsの上空通過。綺麗なところだった。地上で見るほうが感動するかもしれないが、名所を上空から見れるのはパイロットの特権だ。そしてさらに南下し、Broadmoor Hotelの上空通過。このホテルは本当に綺麗なのだが、そのサービスの良さたるは全米一番じゃないかと思う。空から見ても美しいホテル、景観、敷地だった。

そのままCheyenne Mountainの横を通過し、軍の飛行制限空域の手前で旋回することに。ここでフランクがNORAD(North American Aerospace Defense Command/北アメリカ航空宇宙防衛指令部)って知っているか?ときいてきた。もちろんと答えたが、その本体がCheyenne Mountainの山の中に完全に埋もれていることはしらなかった。そのNORADにつながるトンネルの入り口上空は飛行制限空域にかかってはいないらしい。フランクに操縦交代、すぐに180度ターンをして左側を山肌に近付け、トンネルの入り口を教えてくれた。すると、NORADにつながるトンネル発見!。地上からは近付けないが、上空からは丸見え。もちろん、弾道ミサイル防衛にかかわる監視装置の本体は山の中に眠っているわけで、トンネルを見たからって秘密を見たわけじゃないのだが。

ここでColorado Springs Internationalに向ってClass C Airportでのタッチアンドゴー遊びをすることに。Rwy17R Right base entry、徐々にフラップを出し、最初の着陸は超超超良い設置が決まった。フランクも凄い着陸だ!!と褒めてくれた。まぐれだと言っておいた。思ったよりもセスナ172に乗れているなと思った。Rwy17LではC-17がLt Trafficでタッチアンドゴー。あまりにも大きさが違う。こちらも更に1回 Rt Trafficを回り、タッチアンドゴーをして遊んだ。これも非常に良い着陸が決まった。本来はせっかく久々に飛ばすセスナ172を味わい練習するつもりだったが、思ったよりも扱い慣れている事を悟り、ここで満足してしまった。ということで、Meadow Lake Airportに帰ることに。080のheadingで東へ飛び、そして巨大なC-17との進路が交差しなくなったところでHeading 017 headingでMeadow Lakeを目指した。この間もC-17のタッチアンドゴーの練習は続いていたが、あの巨大な機体がフォワードスリップをかけながら急降下して着陸する姿は壮観。戦地の限られた滑走路、限られた制空権の中で着陸する訓練なのだろう。軍の訓練とはこういうものなのかと、ある意味感動した。

しばらくして、Meadow Lake Airportを目視で確認し、ここでClass C Squawkを停止、Squawk VFRとなった。風はRwy15/33の真横240くらいから吹いてきていた。ただ、220ー240くらいの間で揺らいでいるので、Rwy33を選択。空港上空を8000ftで通過し、左ターンして45 entry、Right downwindに入り、右90度からのXwind landingをすることに。風速は10−15ktの間くらい。高過ぎの進入だったが、フルフラップのクラブでファイナルを飛び、そして右wind lowで綺麗な着陸を決めた。着陸後も右エルロンを全開に切って機体を制御。 ”お前はそうとう飛び慣れているな、飛行時間どれくらいだ?”とフランクに聞かれ、”ログしているのは1200時間くらい、全部自家用フライトだ” と返答すると、”なるほどな”とうなずいていた。そして、”セスナ172での横風着陸は俺より上手い”と、御世辞も含めた嬉しい言葉をかけてくれた。生粋のGA Pilot、ジェット機乗りで飛行機野郎のフランクに褒められるのは嬉しい。

1時間くらいのフライトだったが、その後のハンガートークも含め、本当に楽しかった。パイロット同士、飛行機乗り同士、うちとけるのは早い。いつかまた、この空港に帰ってきたい。


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