F老人の気ままな島暮らし日記

尾道市生口島で気ままな島暮らしの日々。

読書記録077「浄瑠璃長屋春秋記-2-潮騒(藤原緋紗子)」

2012年12月08日 21時53分30秒 | 読書記録

 突然失踪した妻「志野」を探して浪人になった青柳新八郎、生活をするため大店の主人の警護などをしています。口入れ屋からある旗本の娘を取り戻す仕事を請け負いましたが、この旗本の奥方が金を手に入れるためには手段を選ばず、養女である娘も実際は売られたことが判明します。新八郎の尽力により、束縛から解放された娘は同じように辛酸を舐めた相手と結ばれ幸せに向かって歩み出し、旗本は自滅の道をたどります。

妻、志野は失踪直後、「のっぴきならない理由ですぐに戻れなくなった」という書面を百姓に託していましたが、幕府から追われている蘭学者の追捕の騒動で新八郎に届かなかったことが分かります。 

さらに、志野は幼いころ養女に迎えられ、実の父親は捕らえられた蘭学者であったらしいことも判明します。暗闇にかすかな光を見出すように少しずつ失踪の状況が捉えられ始めました。