F老人の気ままな島暮らし日記

尾道市生口島で気ままな島暮らしの日々。

読書記録024「冬萌え-橋廻り同心・平七郎控05(藤原緋沙子)

2011年04月30日 08時52分41秒 | 読書記録

第1話「菊一輪」

勝手なふるまいをする不心得者の武士と足抜けした女郎が、昔の主従関係を律儀に守る男を窮地に追い込み、人を殺傷せず必要最低限の金を盗む老盗(盗んだ金をお救い金として寄付、父母の供養を丁寧におこない、行き場のない死者のために無縁墓を寄進・・・)を自訴させる結果となる。女郎は痛めつけられるのを覚悟で元の遊郭に戻る。不合理さと人情の交錯を浄化するような老盗等の供えた両親の墓前の菊一輪。

律儀な男が妻を飯盛り女として売り、吾妻橋の上で別れ、兵七郎の尽力で請け出され同じ橋の上で再会する。

吾妻橋を渡って墨田区役所と勝海舟の銅像の前を通り、水戸徳川家の屋敷跡である墨田公園を抜け、牛嶋神社から三囲神社まで歩いたことがあります。公園の日本庭園は無料のせいか、後楽園などに比べ手入れが悪く、もったいないと感じでした。当時、鬼平犯科帳をさいとうたかおの漫画で読んでいましたので、三囲神社などを「ここだったのか」と思いながらうろつきました。下町で雑然とした町ですが、東京スカイツリーの近くであり、これから新たに発展していく可能性のあるところでしょう。

大川橋と呼ばれていましたが、明治になって「吾妻橋」となりました。

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第2話「白い朝」

取立ての厳しい質両替商が逆恨みをかって殺される。質両替商は慈愛に満ちた真の姿を持ち、行く当てのなで姉弟を世話している。殺される現場で尊敬する寺小屋の先生が一味に加わっているのを見た弟は心を閉ざす。自責の念にかられた先生は自訴し、少年は弁慶橋の上に現れた黒い犬によって心を開く。

物語り全体の人間関係、今回ははやらない道場の主、上村左馬助が縁あって住み込んでいる妙に好意を持っていることが出てきますが、兵七郎と読売屋おこうとの仲も含めなかなか進展しないのがもどかしい。

舞台となった、「弁慶橋」は、変則的な橋で絵を見てもよくわかりません。吉田松陰最期の地に行きたくて小伝馬町の囚獄跡、十思公園に出かけたことがありましたが、その近いところ、岩本町に弁慶橋跡の碑があるそうです。

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第3話「風が哭く」

伊勢の呉服商の奥女中だったお咲には秘密があった。主人であるお美津が慕う武士に貢いだ金を盗んだことにし、2年後には迎えに来るという言葉を頼りに代わりとなって江戸へ出てきたのだ。お咲は懸命に働いて迎えを待ち、ほれられた男にも一緒になるとは言えない。お美津はさらにだまされて金をとられた末、出奔した武士を抱え江戸で芸者となる。・・・ここでも身勝手な若い武士が周りを巻き込んで不幸にしていく。

武士はお美津が身体を売って得た金を奪おうとして兵七郎に斬られ、元の藩の牢屋へ、お美津も保護される。お咲は約束した蓬莱橋の上でお美津の苦労を察し、「風が哭いています」と。しかし、心と身体は開放されて人のよい男の下へ。

富岡八幡宮の図、一番下に掛かっている橋が蓬莱橋、現在は同じ場所に巴橋という橋が掛かっています。

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第4話「冬萌え」

母親を早くなくし父親に育てられた読売屋一文字屋のおこう。兵七郎が定町廻りから橋廻りに左遷されるきっかけとなったおこうの父親の死。夫が理不尽な死の結果、残された母親と娘に同情したおこうの父親の過去。そのような背景の下、仏を装う悪徳商人の卑劣な行い、当然、駆逐されます。

冬萌えとは、冬枯れの中にあるひそやかな緑の芽の姿のことだそうです。人の心、故あって口にできない慕う思いを表すことば。大人になりつつある娘、おこうはその意味に気づき、父親をしのびます。また、おこうの兵七郎に対する思いも冬萌えのようで、これから花咲く日がくることを期待せずにはいられません。

かっておこうの父親が母娘の無事を祈って見た古川橋越しの行灯の明かり、おこうは手を合わせて見る。

古川橋のある地下鉄江戸川橋駅あたりは、公私共に縁の無かったところですが一度行っておくべきところだったようです。

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庭のつつじとさつきが咲き始めました

2011年04月28日 08時07分18秒 | 日記・エッセイ・コラム

昔からあったつつじが咲き始めました。

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今年、新しく15本植えたさつきもつぼみをつけました。思っていたより鮮やかな色で安心しました。

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「さつき」は、「つつじ」の一種で、五月(皐月)に咲くのでそう呼ばれ、正式名称は「さつきつつじ」です。一般的に葉も花も木全体も小さく、新芽が出てから花が咲きます。つつじが先に咲き、続いてさつきが咲きます。

今年植えたものは、伊勢小町という品種で、さつきとつつじの中間に咲くと書かれてありました。昔からあったつつじと新しく植えたさつき、合わせてどのくらい花が続くでしょうか。木と木がつながり、庭全体に花が波のようになるイメージです。(お寺の名前は失念しましたが、京都でそのような庭で抹茶を飲んだことがありました。)


今日のキウイフルーツ

2011年04月27日 18時05分51秒 | 農園作業

いよいよ葉が茂ってきました。今から収穫の心配をするのは変ですが、50cmメッシュに針金を張ったので枝へのアクセスが難しいところがあります。ターンバックルを緩めて広げて収穫できると思っています。

直線距離で約900mのところに、アメダスの観測所がありますが、今日の最高気温は23.9°Cでした。

4月27日

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家の周りの花

2011年04月26日 20時44分29秒 | 日記・エッセイ・コラム

畑に面した台所で作業をしていると、すぐ近くで瓶に息を吹き込んだような音がして、誰か来たのかと驚いて外に出てみると、畑を「雉(きじ)」が歩いていました。雉の鳴き声だったのです。すぐにカメラを持って出て行きましたが、なかなかシャッターチャンスがありません。近くに行こうとすると山鳩が木から飛び立ち、雉も飛んで行ってしましました。その後も鳴き声だけはするので、カメラを持って家の周りを一周してみましたが、姿は見えませんでした。

せっかくカメラを持って出てきたので被写体を探していると、いろんな花がありました。

その1「松葉菊」

葉が厚く多年生で、調べて初めて知りましたが、「アイスプラント」と同属でした。

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その2「デージー」

群生しているので一つ一つを見ませんが、よく見ると大変きれいです。

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その3「あやめ」

あやめ、しょうぶ、かきつばたの見分け方を調べました。外側の花弁に黄色い模様があると「あやめ」だそうです。

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雉の鳴き声を覚えましたので、次は必ず、写真を撮ります。


だいこんの花

2011年04月26日 20時12分37秒 | 日記・エッセイ・コラム

大根の種を取るため、畑の隅の方に花の咲いた大根が3本あります。

昔、昭和45年ごろ「だいこんの花」というテレビドラマがありました。元海軍大佐、元巡洋艦日高艦長を森繁久弥が演じ、竹脇無我さんやいしだあゆみさんが出演していました。森繁久弥さんは、2009年に96歳で亡くなりましたが、同級生のわが父はまだわけのわからないわがままを言っています。巡洋艦日高は架空の艦です。イメージでは「妙高」型か。

なぜだいこんの花かというと、亡くなった妻を「だいこんの花のような、素朴だが美しく控えめな人だった」と語り、息子にも「妻を娶るならだいこんの花のような人を」と口うるさく言ったからです。

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たしかにそのような花です。現代社会において生きていくためには「素朴でなく美しさは別として控めでない」女性に成らざるを得ず、だいこんの花のような人は時代小説の中にしか見られない、だから、時代小説が好きなのかもしれてません。