F老人の気ままな島暮らし日記

尾道市生口島で気ままな島暮らしの日々。

読書記録059「きりきり舞い(諸田玲子)」

2012年02月20日 21時27分55秒 | 読書記録

諸田玲子さんは静岡出身で清水次郎長一家など故郷にかかわりのある人達を主人公にした物語が多くあります。この小説の主人公の父親で「東海道中膝栗毛」の作者である十返舎一九も駿河の町奉行同心の息子でその実大身旗本の庶子であったという複雑な出自が伏線にあります。隠密として長年旅しておりその時の経験から膝栗毛が生まれたと言うことですがたぶん本当でしょう。そのほか、奇人の一人として葛飾北斎の娘お栄も登場します。この方は北斎が「オーイ」と呼ぶので雅号を「応為」にしたという面白い人で作品も多く残っているようです。静的な浮世絵ではなく動きが感じられたり、光の捉え方など素人のF老人でもいいなあと思えます。

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一九の娘「舞」の婚活を通じていろいろな背景としがらみを抱えた人たちがそれにへこたれることなく、それぞれ楽しく、悲しく生きていて、それが調和して人々の生活、世の中がまわっている様子が描かれています。村上豊さんの装画も味があります。

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