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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ビリー・レッツ「ビート・オブ・ハート」

2020-06-05 09:40:36 | 参考文献
 1995年に出版された著者のデビュー作です。
 といっても、すでに多くの短編を発表し、映画の脚本も手がけ、大学で創作科の教授もしているので、並の新人ではありません。
 一緒にテネシーからカリフォルニアへ向かっていた恋人に、オクラホマの片田舎の小さな町で捨てられた、妊娠七ヶ月の十七歳の少女が、そこにあったウォルマート(巨大スーパー)で出産して、いろいろな人の助けを借りて成長していく話です。
 著者の「ハートブレイク・カフェ」の記事にも書きましたが、児童文学の王道を行くようなハッピーエンドの大人のおとぎ話です。
 彼女のまわりには、彼女の成長を助け、それと同時に彼女の無邪気な明るさに癒やされていく、様々な人たちが集まってきます。
 姦淫の罪に悩む髪を青く染めたシスター、昔ながらの撮影を続けている黒人の写真屋、女の子と付き合ったことがないことを悩むネイティブ・アメリカンの少年、未婚の母親(父親の違う五人の子持ち)の看護助手、アルコール中毒の姉を世話している風変わりな図書館の司書の青年など、それぞれのキャラが十分にたっています。
 彼らの助けを得ながら、主人公の少女は、出産、子育て、仕事(ウォルマートです!)、勉強(大学で写真を学びます)、ライフワーク(写真の賞を獲得して、セミプロになります)を通じて、魅力的な若い女性に成長して、夢だった一戸建てのマイホーム(生まれてからずっとトレイラーハウスにしか住んでいませんでした)、そして生涯の伴侶まで獲得します)
 そして、彼女の不思議な魅力は、最後にはかつて彼女を捨てていった男の魂さえ救済します。


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