著者が、1976年6月から一年の予定で行った児童図書講座で、二十数名の児童図書館員を前にして話された各回一時間半の講演(残念ながら著者の病気のために六回だけで打ち切りになってしまいました)をまとめて、著者の没後に出版された本です。
各回はそれぞれ、生きて帰りし物語、なぞなぞの魅力、童歌という宝庫、詩としての童謡、幼年物語の源流、幼年物語の展開、となっていて、それぞれ豊富な実例とともに興味深い内容が語られます。
児童文学のもっとも源流に位置する幼年童話や絵本の構造や歴史について、主に日本と英米の本を中心にしてまとめられています。
もし最後までこの口座が行われ著者自身の手でその内容がまとめられていたら、幼年童話に関するもっとも重要な本になっていたことでしょう。
この本に掲載されている分だけでも、児童図書館員はもちろん、読み聞かせをされている方々や、幼年童話や絵本を実作されている人々にとっても、必読の本だと思われます。
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幼い子の文学 (中公新書 (563)) |
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中央公論新社 |